辺野古見直し論 即時閉鎖に踏み出すとき


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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画をめぐり、注目すべき発言が日米から相次いだ。

 12日に米ワシントンで講演した元外相の前原誠司衆院議員(民主党)は「日米同盟の根底を傷つけるような行き詰まりに備える必要がある。日米政府は静かな環境でプランBを話し合わなくてはならない」との認識を示した。
 仲井真弘多知事が移設に向け辺野古海域の埋め立てを承認したものの、移設反対の世論が強固な中で阻止行動なども考えられ、同計画は暗礁に乗り上げる可能性が否めない。
 前原氏の発言は、辺野古移設強行で流血の事態を招くなどして日米関係が致命的な打撃を受けることを回避するために、代替案の検討を促したものだ。
 日米関係が大切なことは否定はしない。しかし、県民の多くが辺野古移設に反対するのは一義的には人権や民主主義に照らしてのことだ。日米関係を最優先する立場からの見直し論には違和感も覚えるが、有力政治家から出た本音は辺野古移設の行き詰まり感の広がりを如実に物語っている。
 前原氏は、与党の一員だったら見直し論は公には言えないとも述べた。辺野古案に固執し思考停止に陥った日本政府の内実も垣間見えるが、与党なら辺野古移設を推進し、野党なら見直し論を言えるというのではあまりに無責任だ。
 普天間移設問題での辺野古案断念、県外・国外移設に向け、民主党内での論議を急ぎ、安倍政権に方針転換を迫る責任ある行動を今度こそしっかりと取るべきだ。
 一方、知日派のマイク・モチヅキ米ジョージワシントン大教授は衆院議員会館で開かれた超党派国会議員との意見交換会で「辺野古はどれだけ努力しても(完成)できない。普天間の運用停止ができれば、将来辺野古の施設の必要性はなくなる」と述べた。
 米国防総省は先日発表した「4年ごとの国防戦略見直し(QDR)」で、在沖縄部隊を含む海兵隊のグアム移転を進めると明記している。運用上の弾力性や政治的持続性も維持できると分析した上でのことだ。
 日米両政府はこうした方向性に沿い、在沖海兵隊の県外移転を促進し、新基地建設を伴わない普天間の運用停止・返還に真剣に取り組むべき時機だ。それが沖縄の民主主義や人権を尊重することであり、日米関係にも資する道筋だ。