普天間期限明示 茶番劇を繰り返すのか


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県の高良倉吉副知事は政府に対して、県が求めている普天間飛行場の5年以内の運用停止について2018年をめどに実現するよう求めた。首相官邸で開かれた政府と県による「普天間飛行場負担軽減推進作業部会」の初会合の場での発言だ。県が5年以内の具体的な期限を明確にしたのは初めてだが、果たしてどれだけ現実味があるのだろうか。

 米国防総省高官は「普天間を閉めるのは新基地が完全に運用可能な状態になった時だ。計画上、それは2022年以降と見積もられている」と述べ、5年以内の運用停止を明確に否定している。
 安倍首相は知事との会談で「最大限努力する」と述べたが、政府側が米側に本気で働き掛けている形跡は見当たらない。岸田文雄外相は2月に訪米し、ケリー国務長官、ヘーゲル国防長官、ライス大統領補佐官と会談したが、5年以内の運用停止については言及しなかった。対象的に名護市辺野古への移設計画については「決意を持って着実に進めたい」と胸を張った。県の要望を置き去りにしたまま、辺野古移設だけを進めているとしか思えない。
 県がこのほかに要望した普天間配備の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機の県外配備についても、小野寺五典防衛相は「米側の了承なしに話を進めることはできない」と否定的な見解を示す。いつのまにか政府の取り組みは訓練移転にすり替わっている。
 県が要望する「運用停止」が具体的に何を指すのかも不明確だ。仲井真弘多知事は14日の会見で「飛行場が運用されていない、という実感を周辺の人が騒音も含めて、感じられる…。防衛省の人々と話をしないと」などと述べている。運用停止とは軍隊が撤退し、基地機能が停止することではないのか。知事は本音では基地機能の存続を容認しているのではないか。
 県民は過去にも約束をほごにされたことを忘れていない。1999年、稲嶺恵一知事が辺野古を選定し、岸本建男名護市長が受け入れた際に繰り出した15年使用期限の条件について、政府は「米国政府との話し合いの中で取り上げる」と閣議決定した。しかし日米両政府は一顧だにしなかった。今回はその閣議決定すらない。政府と県が一体で茶番劇を繰り返しているようにしか見えない。県はこれ以上、県民を裏切るべきではない。

→「普天間」公約関連記事