新入生へ 「違い」を認め助け合おう


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 入学式の季節を迎えている。県内は県立高校の入学式が7日に開かれ、小中学校は8日がピークとなる。

 真新しい制服に身を包んだ新入生はいかにも初々しく、新鮮な気持ちや緊張感が伝わってくる。見守る家族もまた、節目を迎えた子どもたちの成長に感慨もひとしおのことだろう。夢と希望に満ちあふれた新たな門出を心から祝福したい。
 勉強やスポーツ以外にも、さまざまな事柄に挑戦しようと、新たな目標を掲げた児童生徒も多いはずだ。初心を忘れることなく、日々の生活を大切に過ごし、学校生活を有意義なものにしてほしい。
 新しいクラスメートや先生たちに囲まれ、これまでと異なる環境に誰しも戸惑い、期待と不安が入り交じっていることだろう。しかし、新たな出会いは、自らの殻を破るチャンスでもある。少しだけ勇気を出して、それぞれの世界を広げていってもらいたい。
 もちろん、学校生活はある意味で社会の縮図でもあり、ばら色の未来ばかりではないかもしれない。
 特に近年、学校でのいじめ問題が深刻化している。スマートフォンなどの普及でより陰湿になり、大人が気付かないケースも増えている。いじめに悩み苦しんでいても、声を上げられない子どもたちもいる。
 もし、仮にいじめに遭うことがあれば、親や先生など身近な大人に率直に話してほしい。誰かがいじめられていることに気付いた場合も同様だ。私たち大人も、子どもたちと正面から向き合いたい。
 学校は社会の縮図かもしれないが、教室だけが世界の全てではないことにも気付いてほしい。
 私たちの社会はいろいろな人たちで成り立っている。生活様式や価値観が多様化し、世の中にはさまざまな考え方や意見がある。他人と違うという理由だけで、社会から排除されることがあってはならない。人種や宗教などが異なる国際社会ならば、なおさらだ。
 学校生活では、それぞれの意見をどんどん出し合ってほしいが、お互いを尊重し、理解し合える関係を築き上げてもらいたい。時に助けたり、助けられたり、互いに支え合うことの大切さを学んでほしい。あなたたちの実践が、社会をよりよく変える力となることを期待したい。
 未来に広がる無限の可能性を信じて、夢を追い続けてほしい。