渡辺代表辞任 使途の全容を説明せよ


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 みんなの党の渡辺喜美代表が化粧品会社会長から計8億円を借り入れた問題の責任を取って、代表を辞任した。記者会見で渡辺氏は使途について「党勢拡大に資する情報収集」などに支出したとして「法的にはまったく問題ない」と主張した。

 しかし詳しい使途についてまったく説明していない。これまでの説明も二転三転している。違法性を否定する説明を国民が納得するはずもない。辞任だけで幕引きを図るのは不誠実かつ無責任だ。
 渡辺氏は当初、記者団に「純粋に個人として借りた。政治資金や選挙資金としては使っていない」と説明していた。ところがその後に「党の選挙費用などに使った」と発言を変えている。理由は借りた会長に送った渡辺氏の携帯電話のメールの内容が明らかになったからだ。
 渡辺氏は衆院解散当日、会長に「決戦の時がきました。何とぞご支援のほどよろしくお願い申し上げます」とのメールを送っている。3日後には「5億ほど必要になります。この分をご融資いただけないでしょうか」と送り、5億円が振り込まれた10日後には「供託金の支払い終わりました。今後不足する可能性がありそうです」とメールで報告している。
 これが選挙目的の融資ではないというのは詭弁だ。このメールが表面化しなければ、渡辺氏は選挙に使っていないとする当初の虚偽の説明を続けていたに違いない。
 渡辺氏は党勢拡大のための費用として2億5千万円をみんなの党に貸し付けたと説明する。貸し付けが党の収支報告書に記載されていることを挙げて、法律上も適正に処理されていると説明する。
 また自身が個人で使用した分についても、政治家がポケットマネーを使って政治活動をした場合は収支報告の制度がないことを理由に問題ないとしている。新藤義孝総務相も「(説明通りならば)収支を報告する義務はない」との認識を示している。
 政治家個人の借入金に政治資金規正法のチェック機能が働いていないことになる。そうであるならば法制度を見直すべきだ。
 渡辺氏はこれまで政治とカネの問題を厳しく追及してきたはずだ。辞任で事態が収束するわけがない。衆院政治倫理審査会の場で、自ら詳細な使い道の全容を明らかにして説明責任を果たすべきだ。