長寿県民会議 息の長い取り組み始めよう


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 県や経済団体、医療関係団体など県内71団体で構成する「健康長寿おきなわ復活県民会議」が発足した。危機的状況にある県の健康長寿を取り戻すための県民運動を先導する役割を担う。県民会議に呼応して、県民一人一人が健康回復に向けて意識を改革し、行動につなげたい。

 昨年2月に発表された都道府県別の平均寿命では女性が1位から3位、男性が25位から30位に転落した。1995年に沖縄県は世界長寿地域宣言を出した。しかしこのままだと「不健康短命地域」に成り下がるのに時間はかからないだろう。
 県民の健康長寿を取り巻く環境は、食生活の欧米化や車社会の深化、運動不足など、生活様式の変化に伴って厳しさを増している。沖縄県はがん、心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病による死亡が約5割を占めている。喫煙や過度の飲酒、乱れた食生活などが発症の最大要因だ。
 2006~10年の野菜摂取量は県内の男性が全国45位、女性が44位と下位に位置している。10年のメタボリック(内臓脂肪)症候群の該当者と予備軍も沖縄県は男女とも全国ワーストだ。20~64歳の働き盛り世代の10年の死亡率も男女とも全国平均を上回っている。
 12年の12歳児1人平均の虫歯の数は全国ワーストで、11年の80歳で自分の歯を20本以上残している人の数も県内は全国の半分だ。
 子どもから働き盛り世代、高齢者まで長寿を維持する環境が損なわれていると見るべきだろう。
 こうした現状を打破するため、県は健康長寿世界一復活に向けたプロジェクトを発足させた。長期目標として40年までに平均寿命の都道府県順位で男女とも1位を奪還し、健康寿命を延伸させることを目指している。
 具体的には働き盛り世代の死亡率を下げることに照準を合わせている。死亡率を引き上げている要因の生活習慣病対策を強化するという。こうした取り組みを実効性のあるものにするためには、働き盛り世代が所属している企業や事業所の協力が不可欠だ。県民会議に経済団体が名を連ねているのはそのためだ。
 職場、家庭で運動しやすい日常環境づくり、栄養バランスの良い食事、一人一人の健康管理を進め、長寿県沖縄を復活させるための地道で息の長い取り組みを県民全体で推進したい。