日中関係意識調査 重層的交流こそ抑止力に

 関係悪化を実感し危機感を強めながらも、平和的解決に向け理性的対応を求めている-。県が昨年秋に実施した日中関係に関する調査からは、沖縄県民のこのような意識動向が読み取れる。

 調査では、中国に「良くない」印象を持っている人は89・4%(前年調査89・0%)に上った。尖閣諸島や歴史認識をめぐる問題を背景に、全国の傾向同様に、県民の間でも中国に対し悪い印象を持つ人の割合が高止まりしている感じだ。
 こうした中、県民の危機意識が強まっていることも目を引く。
 「東アジア海洋で軍事紛争は起きるか」の質問に「数年内に起こると思う」を選択した人は7・1%で、前回より2・8ポイント増えた。「将来的には起こると思う」の43%(3・7ポイント増)を合わせると、県民の実に5割が軍事紛争の危険性を感じ取っている。
 比較可能な別の意識調査で、同様に軍事紛争が起こるとみている全国の割合は23・7%だ。沖縄県民が尖閣問題を身近に受け止めていることの証左だろう。
 その一方で、尖閣問題の解決策として、国際司法裁判所への提訴も含め、平和的解決を求める県民の割合は9割近くを占める。このことはしっかり押さえたい。
 「日本の実効支配を強化するべき」との回答も10・8%あるが、県民の多くは危機意識を持ちながらも、いや持つからこそ、平和的な解決に徹するべきだと考えていると言えるだろう。
 その意味では、対立をあおるような政治の動きは日中双方とも厳に慎み、避けるべきだ。ウクライナ情勢の緊迫化が、尖閣問題に及ぼす影響も懸念されており、政治の的確な舵(かじ)取りが一層求められていることを自覚してほしい。
 日中関係をめぐる報道が「過剰な危機意識をあおっている部分がある」(赤嶺守琉球大教授)との指摘もある。耳を傾け、心したい。
 県内に住む中国人らでつくる日本沖縄華僑華人総会の東江芝軍会長は「日中間で政治的緊張感が高まっているときこそ、沖縄と中国の民間交流を大切にしていくべきだ」と述べている。全く同感だ。
 民間レベルのほか自治体の姉妹都市関係などソフトパワーを駆使し、重層的な交流や対話を重ねることが「抑止力」につながる。歴史的、文化的関係が深い沖縄はより効果的な貢献ができるはずだ。



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