沖台観光協定 着実な取り組み進めたい


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 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)が、台湾観光協会との相互連携協定を本年度に再締結する準備を進めている。成長著しい東南アジアからの観光客誘致をはじめ、沖縄の可能性が広がる取り組みとして期待したい。

 OCVBと台湾観光協会は1994年に3年間の協定を結び、97年に更新した。2000年以降は更新していなかったが、近年の台湾との航空路線拡充などを受け、協定を再度締結する運びとなったものだ。
 協定では、タイやシンガポールなど東南アジア諸国の観光客を沖縄や台湾に呼び込むため、共同で観光商品をつくるための取り組みを盛り込む方向で検討している。
 台湾観光協会は福岡や福島、香川などの日本国内6団体と同様の協定を締結している。台湾と最も近く、かつ長年の交流がある沖縄との観光面の連携は、より大きな可能性があるのではないか。
 現在那覇-台北間には1日2往復の中華航空に加え、復興航空と格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションが就航。台湾大手のエバー航空も参入を計画している。国際海洋リゾートを目指す沖縄と、歴史・文化や食の魅力あふれる台湾の観光を組み合わせようという狙いは十分うなずける。
 東南アジアとの交流では県が3月、シンガポールのチャンギ空港グループと航空網強化などに向けた相互連携協定を締結した。直行便開設や観光客誘致、物流促進などを図る方針だ。アジア有数のハブ(拠点)空港であるチャンギを経由したオーストラリアや欧米からの観光客誘致にも期待がかかる。
 また県産業振興公社は近く、中国福建省の福州駐在所を開設し、沖縄の観光や物産を紹介することを計画している。3年前に閉鎖した事務所の事実上の再開だが、今回は新たに台湾企業と連携した展開も模索するという。
 アジアの各地と連携・協力を深めていくことの意義は大きい。観光にとどまらず、国際航空貨物の中継事業などを機に活性化する各地との経済交流の拡大を促し、多種多様な民間交流も後押しすることとなろう。
 沖縄がその地理性を生かし、地域の平和と発展に貢献できる多面的な交流・共生拠点の形成を目指す上でも各地との結び付きを深めたい。関係機関にはぜひ取り組みを着実に進め、より多くの具体的な成果につなげてもらいたい。