辺野古は重要海域 海洋保護区に設定すべきだ

 環境省の有識者会議が日本の排他的経済水域(EEZ)内で生物学や生態学の観点から重要な場所を「重要海域」として初めて選定した。全国の沿岸域約280カ所、県内からは18カ所が選ばれた。

 本島は米軍普天間飛行場の代替施設建設予定地になっている名護市辺野古沖など6カ所で、本島沿岸は、ほぼ全てが含まれる。沖縄の海域が生態系保全上、重要な場所であることが専門家によって証明されたのだ。
 重要海域は文字通り生物多様性を保全する上で重要な海域を指し、固有種が分布、絶滅危惧種が生息、日本を代表する生態系がある-などの8項目を選定基準にしている。法的拘束力はないが、日本の海洋保護区拡大を図る狙いがある。
 海洋保護区は海の生態系保護のため開発行為などを規制する海域を指す。サンゴ礁の周辺、魚の産卵海域などに設定される。2010年に名古屋市で開かれた生物多様性条約の第10回締約国会議では20年までに少なくとも海域の10%を保護区などとして保全する目標を採択している。
 今回、重要海域に選定された名護市辺野古沖は海洋保護区に最優先で設定されるべきだろう。要件を幾つも備えているからだ。国の天然記念物や国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に指定されているジュゴンの主要な生息地だ。同じく絶滅危惧種のアカウミガメ、アオウミガメも生息し、砂浜での産卵も確認されている。
 辺野古沖の大浦湾には希少種アオサンゴの大群落があり、生物多様性に富む海草藻場では環境省が準絶滅危惧種に指定する海草7種も広がっている。海洋保護区設定に異論を挟む余地はない。
 しかし日米両政府はこの海域を埋め立てて、軍事基地の建設計画を強行しようとしている。今夏にも予定海域21カ所で海底ボーリング調査や磁気探査を実施する構えを見せている。この計画と環境省の方針は明らかに矛盾している。海の生物多様性を保全するとの国際的な流れに逆行する暴挙であり、時代錯誤だ。
 琉球新報社が4月下旬に実施した県民世論調査でも県内移設に反対する回答は73・6%に上っており、沖縄の民意も踏みにじる行為だ。日本政府は辺野古移設計画を即座に断念すべきだ。そして生物多様性に富む現場海域を海洋保護区に設定し、名実共にしっかり保全する政策に転換すべきだ。