ブラック企業 人格否定許さず対策強化を

 過酷な労働を強い、働く人を使い捨てにする「ブラック企業」が県内でもはびこっている。

 長時間労働や賃金を支払わない残業など、労働関係法令を度外視した働き方を強要していないかを確認した沖縄労働局の抜き打ち調査で、27社中21社で法令違反が確認され、改善を指導されていた。
 違法な時間外労働は16事業所、賃金を支払わない残業を強いたのは10事業所ある。月80時間以上の残業が5、うち100時間以上は3事業所あった。厚生労働省が昨年9月、ブラック企業の疑いがある全国の企業・事業所5111社を調べ、県内の実態も判明した。だが、指導を受けた企業は氷山の一角だろう。
 是正しない企業には労働法規違反で立件する強い態度で臨み、決して見逃してはならない。沖縄労働局、県は対策を強化してほしい。
 就職難時代に付け込み、正社員を多く採用した上で、不要と判断した社員を酷使し、「辞めさせる」のではなく「辞めるように仕向ける」手口が常とう手段だ。利益確保のために賃金が安い非正規雇用を増やしつつ、正社員として雇ったことを逆手に取る。人格を否定する悪質な経営手法である。
 全国調査では、5111のうち4189企業・事業所(82%)で法令違反があり、是正を勧告された。長時間労働で精神的な障がいを来した後も月80時間超の残業をさせたり、賃金を1年間支払わなかったりするなど、甚だしい人権侵害が多く報告されている。
 2008年のリーマン・ショック後に雇用環境が悪化して企業内で人材育成をする余裕がなくなり、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントが横行するようになったとの専門家の分析もある。
 景気が回復基調にある中、若者使い捨ての風土がある企業への就職者が大幅に減った。倫理観を欠いた反社会的経営への批判と受け止めるべきだろう。県内は経営基盤が弱い中小零細企業が大半を占める。だからと言って、経営者が内部留保を優先するあまり、長時間労働やサービス残業を助長してはならない。
 政府は2015年春に卒業見込みの大学生らを採用予定の企業に、求人票に過去3年間の採用者数と離職者数明記を求めている。ブラック企業か否かを判断できる情報開示を進め、離職率が異常に高い企業の求人制限など罰則強化も検討し、実効ある対策を講じるべきだ。



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