F15部品落下 危険除去へ配備見直しを


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 一歩間違えば大惨事になりかねなかった。米空軍嘉手納基地所属のF15戦闘機1機が訓練飛行中に、エンジン部品の一部(重さ約17グラム)を落下させたことだ。

 米軍は嘉手納に配備されているF15の飛行を直ちに中止し、事故原因究明とF15全機の安全点検を徹底すべきである。
 部品が落下したのは15日午前で落下場所は不明という。部品は長さ4・5センチ、幅4センチの金属製で、エンジンの外側と内側の分岐部分を固定する計30個の締め金のうちの一つだ。けが人など被害情報がないことは、不幸中の幸いだ。
 嘉手納基地は「落下部品は目に見えないほどの小さな亀裂があったとみられる」と説明する。
 今回の事故を決して過小評価してはならない。在日米軍を監視する市民団体「リムピース」の頼和太郎氏は「落下部品がエンジンの停止や爆発を引き起こす可能性もあった。落下物の重さに関係なく重大事故だ」と指摘した。
 つまり落下部品がエンジンに入り込み、爆発など大惨事を誘発する可能性を指摘したのだ。当然想定すべき事態であろう。
 嘉手納基地側は「徹底して点検し部品を取り換えたので飛行には問題ない」とし、訓練も延期しないという。F15は今年3月にも沖縄本島北西の東シナ海上空で訓練飛行中、操縦席を覆う重いカバーの落下事故を起こしたが、原因を究明しないまま飛行を再開した。県民の不安を顧みず、神経を逆なでするかのような米軍の不誠実な対応は、断じて看過できない。
 米軍機は復帰後、年1回以上のペースで墜落し、部品落下、着陸失敗などを含める事故件数は540件余に上る。1979年に常駐配備されたF15は過去35年間で10機が墜落している。
 頼氏は、相次ぐF15事故に関し、整備を重ねても間に合わないほど機体が老朽化している可能性を指摘、危険な機体が飛び交う沖縄の空の現状に警鐘を鳴らした。
 老朽化に伴う事故リスクの高まりに抜本的に対処するというのなら、F15の配備継続を前提に事故原因や再発防止策を論じること自体、もはや時代遅れではないか。
 日本政府は、事故について米側に厳重抗議すべきだ。同時にF15の撤去や配備見直しを含め、事故リスクの抑制に最大限努めるよう、毅然(きぜん)と申し入れるときだ。