健康長寿県復活 県民総掛かりの機運高めよ


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 2040年までに男女ともに平均寿命全国1位奪回を目指す、官民一体の健康づくり事業が本格的に動きだした。

 主体となる「健康長寿おきなわ復活県民会議」には経済界も積極的に加わり、構成団体は71に及ぶ。行政主導の掛け声倒れに終わらせない運動の本気度が試される。各団体は当事者意識を強く持ち、県民総掛かりで取り組む機運を高めてもらいたい。
 2013年2月に発表された都道府県別平均寿命は、女性が1位から3位に転落し、男性が25位から30位に下げた。「330ショック」とも呼ばれる急激な落ち込みへの危機感は強い。
 働き盛りの20歳から64歳の世代で、全国平均の死亡率を上回り、平均寿命を押し下げている。現状は深刻だ。総じて肥満率が高く、沖縄はがん、急性心筋梗塞、脳血管疾患などの生活習慣病や過剰な飲酒を原因とする肝臓病などが全国ワースト5に入っている。
 県民の健康長寿を取り戻すには、働き盛り世代を軸に生活全般を改める必要がある。県民会議は重点目標に肥満解消、適正飲酒、検診率のアップを掲げている。
 本土に出張した際、万歩計や携帯電話の歩数計が示す値を見て、「こんなに歩いたのか」と驚く社会人が県内には多いのではないか。
 本土で鉄道や地下鉄を乗り継ぎ、駅から移動するだけで、たちまち1万歩以上に達することがある。
 車社会が定着し、歩かない人が増えた沖縄との落差は大きい。「歩かない」習慣は、健康長寿を遠ざける沖縄社会の病弊の一つだ。
 肥満を解消する身近な取り組みとしてウオーキングがある。
 車を極力使わず、バス停一つ多く、10分(約千歩)長く歩くことことを習慣付けたい。個人の意思に任せず、グループ単位で奨励し、体重減や中性脂肪値の改善に結び付けた企業もある。先進的な取り組みの共有も大切だ。
 仕事絡みの付き合い、私的な模合など、深夜に及ぶ飲酒機会の多さにも問題がある。健康を害するアルコールの過剰摂取を招きかねないだけに、地域や教育界も含め、飲酒を適正量にとどめる具体的な取り組みも広げねばならない。
 初期段階の外来受診率が低く、症状を悪化させる人が多い課題も克服せねばならない。県民一人一人の意識改革を促す取り組みの強化が健康長寿復活の試金石となる。