キングス日本一 地域と共にさらに飛躍を


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 プロバスケットボールbjリーグの琉球ゴールデンキングスが、2年ぶりの日本一に輝いた。ブースター(ファン)や声援を送った多くの県民と共に優勝を喜びたい。

 昨季は地元のプレーオフ西地区準決勝で敗退を喫しただけに、喜びもひとしおだろう。2007年のリーグ参戦以降、3度目の頂点だ。選手の奮闘に心から拍手を送る。
 キングスは今季レギュラーシーズンで43勝9敗とリーグ記録を更新する圧倒的強さを見せた。プレーオフ西地区決勝では昨季の準決勝で敗れた京都に雪辱を果たし、決勝は今季初の100点試合で秋田を下した。王者にふさわしい試合運びだった。
 チームは「団結力」を今季のテーマに掲げていた。大黒柱アンソニー・マクヘンリー選手は、2年連続3度目のベスト5を受賞するなど今年もチームをけん引した。リーグ新人賞を受賞した岸本隆一選手は、優勝決定戦では34得点の大活躍でプレーオフMVPに輝いた。
 好選手をそろえたチームが一発勝負のプレーオフでも勝負強さを発揮できたのは、「昨季の悔しさを忘れない」という強い精神力とチームワークがあったからだろう。
 今年から采配を振る伊佐勉ヘッドコーチ(HC)は本紙の連載「わたしの鑑(かがみ)」の中で、中学の恩師の言葉を引き「当たり前のこと」を一人一人が妥協せずに実行することが試合では重要になる-と話した。キングスに憧れる多くの児童生徒にも示唆を与える言葉だ。
 常勝球団の指揮を執り、多くの重圧もあったに違いない。就任1季目で日本一を勝ち取ったその手腕をあらためてたたえたい。
 県内のキングス戦の今季来場者は10万人を突破した。国内のプロバスケでは初めてだという。地域の「わったーチーム」を、経営面で県民や協賛企業が支えている。
 2年前の数字だが、りゅうぎん総合研究所によると、キングスの活動に伴う県内の経済効果は年間25億円(11-12シーズン)で、リーグ参戦の07-08季の3倍強に伸びている。チーム成績も観客動員に当然結び付いているだろうが、バスケ教室開催など地域に密着した地道な活動も応援の輪を広げている。
 地元が支えるチームの活躍が地元を勇気づけ、活性化にも一役買う。この成功例は他のプロスポーツ、企業スポーツの参考にもなる。地域と共に歩むチームとして、来季のさらなる飛躍を期待したい。