特殊詐欺増加 未然防止へ対策強化を


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 特殊詐欺による被害が後を絶たない。県内では最近、「ロト6」の当せん番号を事前に教えるとだまして現金を振り込ませるなど、ギャンブル情報絡みの詐欺が目立つ。巧妙化、多様化する手口に、一層の注意喚起と対策強化が必要だ。

 県警のまとめでは、ロト6に絡む詐欺被害の認知件数は2013年は6件。今年は5月末までに3件で、50代の女性ら3人が被害に遭っている。
 ロト6の当せん番号は新聞に掲載されるが、番号は前日にインターネットで公開されている。こうした事情を知らない人に犯人は電話をかけ「当せん番号を教える。あしたの新聞を見れば分かる」などと言って信用させ、後日再び電話をかけ情報料を請求する手口だ。
 特殊詐欺はこのように、人心を惑わし、形や手口を変えながら、警戒の網をくぐって現れる。
 警察庁の今年1~2月の調査では、おれおれ詐欺の84・7%が現金手渡し型で、これまで主流だった振り込み型は10・8%にまで減っている。金融機関などでの取り組みが奏功し、被害を未然防止する事例が増えているからだ。
 金融商品取引や架空請求の詐欺でも、振り込み型から郵便や宅配便で現金を送らせる送付型にシフトしているという。県内でも30代の男性が、電子メールの架空請求に応じて現金200万円を宅配便で送り損害を被っている。
 県内で振り込み型の被害を未然に防いだ事例は12年は14件、13年は12件あった。今後は送付型など巧妙化する手口への対策強化が課題だ。警察や自治体、県民生活センターや老人クラブなど関係団体は情報交換と連携を密にし、実効性ある対策を講じてほしい。
 県内では12年に「還付金詐欺」が横行した。役所や社会保険事務所など公的機関を名乗り、払い過ぎた医療費や税金を返すとだまして現金を振り込ませる手口だ。
 この時は、社会に気の緩みが出るのを見計らったかのように、08年以来4年ぶりに被害が続発した。その後は発覚していないが、同様な手口が繰り返される恐れは十分にある。
 一人一人の心構えと、社会全体で詐欺を許さない雰囲気づくりが重要だ。高齢者だけでなく、ネット社会では若年層も油断できない。詐欺で集めた資金が別の犯罪に使われる懸念もある。警察は犯行グループの摘発にも力を入れてほしい。それが一番の未然防止策だ。