石原氏「金目」発言 環境相の更迭は免れない


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 東京電力福島第1原発事故に伴う除染廃棄物を保管する国の中間貯蔵施設建設をめぐり難航している福島県側との交渉について、石原伸晃環境相が16日、記者団に「最後は金目でしょ」と述べた。住民があたかも補償金や賠償金などを目当てに駆け引きをしていると決め付けるような発言だ。

 原発事故で故郷を追われ、再び戻れないかもしれない人々や貯蔵施設建設に向き合わなければならない住民を侮辱するもので看過できない。
 石原氏は翌17日午前の閣議後会見で「全くの誤解。私の品を欠く発言で不快な思いをされた方におわびしたい」と陳謝した。
 誰が誤解しているというのか。国民の多くは札束で頬をたたいてでも従わせるという政府の本音を述べたと感じているのではないか。
 石原氏はこれまでも耳を疑う発言を繰り返している。野党時代の2012年には原発事故の汚染土壌について「運ぶところは福島第1サティアンしかない」とオウム真理教の施設名を使って発言した。
 13年には福島市内の会議で中間貯蔵施設建設について「(地元自治体の)皆さんが福島のために自ら行動するという認識を持っていただくことが重要」と述べ、責任転嫁の発言として反発を招いた。
 米軍普天間飛行場の代替施設建設が計画されている名護市辺野古沿岸海域や大浦湾についても、政府が登録を目指す「奄美・琉球」の世界自然遺産に含めるかを問われた際に「守るべきものがいないところを政治的な問題として後から加えることは考えていない」と答えている。環境省が絶滅の危険性が極めて高い「絶滅危惧種1A類」に指定するジュゴンが生息する海を「守るべきものがいない」と切り捨てる感覚は、環境相として適格性を疑われても仕方ない。
 中間貯蔵施設の住民説明会は地元などで16回開催されたが、石原氏は一度も出席していない。17日の会見で「被災者に寄り添い、丁寧な説明を続けたい」と釈明したが、全く説得力を欠いた。
 「お金なんか要らない。古里を元に戻してほしい」。避難生活を送る女性の叫びにまともに答えられるのか。
 一連の不用意な発言を勘案すれば、もはや石原氏が大臣として不適格なのは明らかだ。安倍晋三首相の任命責任は重い。速やかに石原氏を更迭すべきだ。