オスプレイ部品落下 大事故起こす前に撤去を


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 米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイから、通常訓練中に金属製の部品が落下していたことが分かった。

 在沖海兵隊は「部品は海上に落下し、けが人もいない」と事もなげだが、県民の大反対を押し切って強行配備された欠陥機に絡む事故であり、断じて看過できない。オスプレイ全機の徹底的な点検整備、原因究明までの飛行停止はもとより、沖縄からの即時撤去を強く求める。
 沖縄防衛局によると、落下したのは機体後部の垂直安定板に取り付けられている長さ15センチほどの棒状の部品。静電気を放電させる役割を果たしているという。
 部品落下は17日午後から夜にかけて発生したと見られるが、在日米軍から防衛省、沖縄防衛局を通じて県や宜野湾市に連絡があったのは19日になってからだ。
 日米両政府は1997年、米軍機からの落下物に関しては基地内外を問わず、日本側へ迅速な通報をすることで合意している。なぜ18日中の通報ができなかったのか。通報体制に対しても機種や安全管理、整備体制同様に、強い疑問を抱かざるを得ない。
 米国防総省監査室は昨年10月、2008年10月から11年9月までの海兵隊MV22オスプレイの整備作業や書類作成に関するミスが、多数見つかったとする監査結果を公表し「任務遂行に十分な状態でないまま機体を配備していた可能性がある」と指摘している。
 機体の状態を示す記録のミスが調査対象200回のうち167回、機体の整備作業指示が不適正だったものは907回のうち112回あったというから驚きだ。
 オスプレイだけでなく、米軍機からの落下事故は2003年以降、県内やその周辺で21件確認されている。まさに県民の命と生活が危険にさらされている。この現状を放置するわけにはかない。
 今回の部品落下事故を米軍、日米両政府は甘く考えてはならない。県民は上空でオスプレイの機影を見、重苦しい飛行音を聞くたびに、いつ重大な事故が起きないかと不安と恐怖を募らせているのだ。
 制限されているはずの午後10時以降の飛行も常態化している。県民の命と人権が軽んじられているというほかない。人命軽視、軍事優先の状態が続けば、いずれは重大な事故につながる。オスプレイの撤去こそが最良の再発防止策だ。