内閣支持率下落 暴走やめ民意を直視せよ


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 平和憲法の下で重ねてきた不戦の歩みをなきものにしようとしている。そんな安倍政権の暴走を国民は許してはいない。

 集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定を受けた共同通信世論調査によると、安倍内閣の支持率は47・8%で、前回6月から4・3ポイント下落した。不支持率は40・6%で初の40%台に上昇した。調査に示された厳しい声を安倍政権は直視すべきだ。
 集団的自衛権の行使容認反対は54・4%と過半数を超えた。賛成は34・6%にとどまっている。国民を埒外(らちがい)に置いた閣議決定の手続きへの批判も根強い。安倍晋三首相が政府、与党に検討を指示し、1カ月で閣議決定がなされたことに対し、82・1%が「検討が十分に尽くされていない」と回答した。国民への説明を回避し、平和主義という国の根幹を大転換した安倍政権に対する国民の不信と憤りが示された。
 1日の閣議決定後の記者会見で、安倍首相は「現行の憲法解釈の基本的考え方は今回の閣議決定でも何ら変わることはない」と釈明した。「再び戦争をする国になることはあり得ない」とも述べた。しかし、このようなごまかしがほとんど通用しないことは、今回の調査を見ても明らかだ。
 政府・自民党が「限定容認」を強調しているのに対し、73・9%が「行使容認の範囲が広がる恐れがある」と懸念している。「戦争に巻き込まれる可能性」を懸念する人は「どちらかといえば」を含めると計61・2%に上った。
 安倍首相や菅義偉官房長官、行使容認をめぐる与野党協議会座長を務めた高村正彦自民党副総裁は会見などの場で「国民の理解」を得るとの考えを繰り返してきた。
 しかし、国民は日本を米国の戦争に巻き込む「積極的平和主義」の実像をとっくに見抜き、強い危機感を抱いている。むしろ安倍政権が暴走を直ちにやめ、国民の不安と真正面から向き合うべき時である。
 集団的自衛権の行使を実際に可能とするための関連法整備をめぐる国会審議が控えている。与党のみならず野党も安倍政権に追随する現国会では世論を反映した審議がなされるとは思えない。調査では68・4%が衆院解散を求めている。国民と乖離(かいり)した国会審議を放置するわけにはいかない。国民意思に沿って信を問うべきである。