台風特別警報 万全の上にも万全の対策を


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 なし得る限りの厳重な警戒が必要だ。大型で非常に強い台風8号が沖縄に接近している。8日には「非常に強い」から「猛烈」に激しさを増す見通しだ。

 気象庁はこの台風が「数十年に1度の強さ」だと見て、宮古島に暴風の特別警報を発表した。台風による特別警報は初だ。沖縄本島も対象となる可能性が高い。
 それだけ高い危険性があるということだ。気象庁は「直ちに命を守る行動を取ってほしい」と、最大級の警戒を呼び掛けている。最新の台風情報に注意を払い、身を守るための行動はためらわず行ってほしい。
 最大風速は久米島で55メートル、沖縄本島で50メートルと見込まれている。最大瞬間風速は75メートルに達するところもある見通しだ。
 宮古島で300本もの電柱が軒並みなぎ倒され、風力発電の風車も根元から倒壊した2003年の台風14号は記憶に新しい。その時の最大瞬間風速は74メートルだった。今回の台風はそれに匹敵するか、それ以上だということだ。
 接近前ならば、家の周りで風に飛ばされそうなものは室内に入れるか固定しておこう。浴槽に水を張って生活用水を確保し、懐中電灯やラジオ、非常持ち出し品を準備しておきたい。
 風雨が強まれば屋内にいないと危険だ。水が濁ればマンホールが外れていても分からないから、側溝や用水路の見回りは避けよう。地下にいるなら地上へ、が基本だ。波浪の特別警報は既に出ている。海岸や河川には絶対に近づいてはいけない。
 家屋損壊の可能性が少しでもあるなら、早めに自主避難したい。ただ、遠距離の避難指定場所より、近隣の丈夫な建物の方が安全な場合もある。判断を研ぎ澄ましたい。
 崖地や斜面の近くなら、聞いたことのない物音が聞こえたり、湧き水が濁ったり小石が転がったりしたら、土砂崩れの前兆である。一刻も早く避難すべきだ。
 台風の特別警報は、本土では、5千人以上の死者・行方不明者を出した伊勢湾台風級を想定する。中心気圧930ヘクトパスカル以下、風速50メートル以上が指標だ。だが台風への備えがある沖縄では、さらに強い910ヘクトパスカル以下、風速60メートル以上を基準とする。それが適用となるのだから今回の台風がいかに強いかが分かる。万全の上にも万全の対策を施す必要があろう。