ガザ攻撃激化 国際社会挙げて停戦迫れ


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 イスラエルによるパレスチナ自治区・ガザ地区への攻撃が激しさを増している。13日には、海軍の特殊部隊が上陸作戦を展開し、地上侵攻の最悪事態に至った。

 憎悪が憎悪を呼び、罪のない市民が犠牲になっている。国際社会を挙げて、双方の攻撃を直ちにやめさせる仲介圧力を強め、これ以上犠牲者を増やしてはならない。
 ガザを実効支配するイスラム組織・ハマスによるロケット弾攻撃を阻止するとして、イスラエルは連日、ハマスの拠点など市街地千カ所以上に空爆を続けている。
 120人を超えた犠牲者の多くが子どもや一般市民である。ワールド杯サッカーをテレビ観戦していた喫茶店も爆撃された。無差別攻撃と非難されても仕方ない。
 昨年夏に3年ぶりに再開された和平交渉が暗礁に乗り上げたまま、今回の武力衝突に至った。ガザ自治政府とハマスが和解して統一政府を樹立したことに対し、イスラエルは猛反発している。空爆に統一政府の瓦解(がかい)を狙う思惑があるなら、許されることではない。
 発端は、6月にユダヤ人少年3人が殺害された事件だった。イスラエルはハマスの犯行と一方的に決め付け、600人以上のパレスチナ人を拘束した。今月に入り、極右勢力のユダヤ人の若者が16歳のパレスチナ人少年を拉致し、殺害した。生きているうちに火を放たれ、殺された疑いがある。
 イスラエルはガザ入植地から撤退した後も境界封鎖を強め、ガザでは食糧、生活物資などが不足している。エジプト国境の地下トンネルをエジプト政府が破壊したことに空爆が重なり、ガザの住民生活はさらに窮乏している。
 経済的苦境に立つハマスに比べ、イスラエルの軍事力は圧倒的だ。国内で地上侵攻を促す強硬論も強まり、ガザ周辺に派遣する戦車や兵士を増やしている。2008年から09年のガザ侵攻では1400人が死亡した。市民の犠牲者を増やす地上侵攻をエスカレートさせてはならない。
 国連安全保障理事会の緊急会合で、潘基文事務総長は「対立の代償を市民が払っている」と述べ、双方に攻撃中止を求めた。とりわけ、イスラエルへの影響力が強い米国のオバマ大統領は、軍事行動中止の働き掛けを強めるべきだ。
 アラブ諸国を含めた国際社会は危機感を強め、一致結束して停戦を実現してもらいたい。