飲酒事故ワースト 危険性の周知徹底図りたい


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 飲酒絡みの交通事故が後を絶たない。ことし上半期に県内で発生した死亡事故、人身事故に占める飲酒絡みの事故はいずれも全国ワーストである。

 全ての運転手が「酒を飲んだら運転しない」とのルールを守るという当たり前の社会の実現に、あらためて県民総ぐるみで取り組む必要がある。
 上半期の交通死亡事故は21件あり、そのうち飲酒絡みの事故は7件で33・3%を占めた。実に3件に1件は飲酒絡みである。その運転者が飲酒運転さえしなければ、3分の1は犠牲者を出さずに済んだのである。
 飲酒絡みの交通死亡事故が事故全体に占める割合は全国平均の4・4倍に上る。県内の人身事故2960件のうち飲酒絡みの事故が60件と2・03%を占め、全国平均の2・6倍である。
 命に関わるだけに「不名誉なこと」だけで片付けられる問題ではない。
 飲酒運転は運転者だけでなく、関係のない車の運転者や歩行者までも巻き添えにする可能性が極めて高い。これまでも飲酒運転によって多くの命が失われ、奪われてきた。重い後遺症に苦しむ人も少なくない。亡くなった人の家族や関係者を悲しませることにもなる。
 09年に県飲酒運転根絶条例が施行されてからこの間、県民、事業者、飲食店、県などが飲酒運転の根絶に取り組んできた。しかし十分な成果を上げたとは言い難い。
 死亡事故に占める飲酒絡み事故の割合は一時期全国ワーストを脱却したが、13年は再び全国ワーストになり、人身事故は13年まで24年連続全国ワーストである。
 要因は運転者の意識の低さに尽きる。県警が13年に検挙した飲酒運転者を対象に実施した意識調査(回答者千人)では、56・8%が酒を飲むと分かっていながら車を持ち出している。
 飲酒運転は重大な犯罪だということの認識が決定的に欠如している。飲酒運転する人は運転する資格もなければ、酒を飲む資格もない。そのことを肝に銘じてほしい。
 悪質な運転者の意識を改革するために、関係機関は条例に沿った取り組みをさらに深化させる必要がある。飲酒運転の疑似体験交通安全教室などをこれまで以上に開催するなど、飲酒が運転に重大な影響を与え、危険性が増すことの周知徹底を図ってもらいたい。