政務活動費 透明度高める改革尽くせ


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 不適切な使い方が横行している地方議会の政務活動費をめぐり、議会側のチェック体制の弱さが浮き彫りになった。

 47都道府県と20政令指定都市のうち25自治体が、使用目的などの詳細な報告書提出を義務付けていないことが分かった。沖縄県議会も入っている。
 目的をはき違え、血税という認識を欠いた政務活動費の使い方は許されない。
 不正使用の温床となる曖昧な規定を厳しく改革し、透明性の確保によって有権者の信頼回復に努めねばならない。
 政務活動費は地方自治体の議員に対して報酬とは別に支給されている。2012年の地方自治法改正により、「政務調査費」から「政務活動費」に改められた。
 使途の「調査研究」に「その他の活動」が加わったことで、要請や陳情活動への支出も可能だ。支給額や支出項目などは自治体ごとに定められるようになっている。
 政務活動費は、支出や収支報告に関する規定の甘さが長く指摘され、住民監査請求などで不適切な支出を突かれるケースが多い。携帯電話費の負担など、問題化するのは公私の区別の曖昧さなどに起因するものが大半を占める。
 兵庫県議が年間195回も日帰り出張し、費用約300万円を政務活動費から支出したことを問われ、議員辞職に追い込まれた。
 「要請陳情等活動費」と主張したが、一切領収書が添付されておらず、出張中の面談者など具体的な行動は報告されなかった。
 兵庫県議会が常軌を逸した支出を警察に告発したのは当然だ。政務活動費を「第2の報酬」とみなしたかのような、ずさん極まる支出が許されていいはずがない。この県議の問題は「氷山の一角」という疑いもある。
 沖縄県議会では2005年以降、会派には月額10万円を議員数に乗じた額、議員1人には15万円ずつが交付されているが、不適切な支出が問題になったケースもあった。
 公認会計士など第三者によるチェックを受けているのは7議会にとどまる。収支報告書の公開にとどまらず、会計帳簿の提出も義務付けることで、適正な使用と透明
性の確保が両立できるはずである。
 適正に用いられた政務活動費が有権者の役に立つことを示す必要がある。議会が厳格な使途の透明化に率先して臨むべきである。