児童買春逮捕 実効性ある対策を講じよ


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 衝撃的な事件だ。出会い系サイトで知り合った女子中学生に金を払ってみだらな行為をしたとして県教育庁の幹部が児童買春の疑いで逮捕された。

 容疑者は容疑を否認しており、現段階で即断するのは危険だ。
 とはいえ、事件内容に衝撃を受けた保護者は多いだろう。性的自己決定能力が完全ではない未成年者が、買春の動機を持つ者と容易に接触できる現状は危機的だ。実効性のあるあらゆる対策を講じたい。
 内閣府の調査では携帯・スマートフォン所有率は中学生で5割を超え、8割超がインターネットを利用する。うち5割弱が多数の人と交流できるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用している。ネットを通じた人との接触は中学生でも常態化しているのだ。
 これら全てが危険ではない。専門家は「むやみにネット利用を禁ずると友達の輪から外れて孤立することもある」と指摘する。ただ、顔も知らない匿名の相手との接触には常に危険が潜む点は、きちんと啓発しておきたい。
 警察庁によると、コミュニティーサイトに起因し児童が被害に遭う事件の摘発は2013年で1804件、前年比38%増えた。出会い系サイトを通じた事件は減っているが、被害児童は159人いる。
 実効性が高い対策は買う側の大人への厳罰化だろう。児童買春・児童ポルノ処罰法の罰則を重くするだけではない。そうした大人が網の目から漏れることなく確実に罰を受ける仕組みが重要だ。きちんと情報を収集できるよう相談体制の充実を図るとともに、捜査態勢拡充も検討したい。
 容疑者は県教育行政を統括する立場にいた。しかも青少年のネットによる性犯罪防止の対策委員会委員長を務め、被害防止の指針作成の責任者でもあった。
 本人は「18歳未満とは知らなかった。性行為はしていない」と容疑を否認しているが、少女とホテルで会ったことは認めているという。本来なら指導すべき自身の立場に照らせば、不適切であることは十分承知していたはずだ。教育界への信頼を失墜させる行為で、残念でならない。
 県内で13年度にわいせつ等で懲戒処分を受けた教員は5人もいた。そうした人物は「入り口」で確実にはじくよう、適性をきちんと見極める態勢も構築してほしい。