県知事選 審判まで「辺野古」中止を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 11月16日に投開票される県知事選に3人が立候補する構えを見せている。仲井真弘多知事(74)、翁長雄志那覇市長(63)、下地幹郎元郵政民営化担当相(52)の3氏だ。今回の選挙は普天間飛行場代替施設の名護市辺野古移設の是非が最大争点だ。3氏は辺野古移設についての自身の立場を明確に有権者に示してほしい。

 仲井真氏は前回の知事選で普天間の「県外移設」を公約に掲げて当選した。しかし昨年末には国の埋め立てを承認し、最近は辺野古移設について「辺野古は最短」などと容認姿勢を強めている。自身の公約との整合性について十分な説明責任を果たすべきだろう。
 翁長氏は自民党県連幹事長だった15年前、県議会で辺野古移設推進決議を可決に導いた当事者だ。現在は「辺野古ができたら100年基地が残る」として反対し「オール沖縄」の超党派で県外移設を要求している。現在の心境に至った理由を説明すべきだろう。
 下地氏は6月時点で「嘉手納統合を行わなければ5年以内(運用停止)の約束は果たせない。同時に日米政府との約束(辺野古着工)を果たすことも重要」との考えだった。立候補表明では県民投票の結果に委ねるとした。自身の立場を明確に示すべきではないか。
 一方、日本政府は辺野古への移設作業を着々と進めている。台風などで延期している海底ボーリング調査の浮具(フロート)、浮標灯(ブイ)の設置に向けた作業を11日以降にも再開する可能性がある。反対行動に対処するため海上保安庁が10隻以上の巡視船を沖縄に集結させるなどしている。国の圧倒的な力で移設反対の声を封じる狙いだとしか思えない。
 政府が作業を急ぐ姿勢には、普天間移設が最大争点となっている知事選の前に、工事を後戻りできないほど進めようとする意図を感じざるを得ない。菅義偉官房長官も「埋め立て承認を受けている。法に基づいて淡々と手続きをし、着手するということだ」と述べている。知事選の結果にかかわらず辺野古移設を進めるとの意思表示にほかならない。沖縄の民意をどう考えているのか。
 沖縄に民主主義が適用されているというのなら、政府は辺野古移設の是非が最大争点の県知事選が終わるまで移設作業を中止すべきだ。県民の審判を見届けるのが筋である。