辺野古契約非公表 再入札し工事中断せよ


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 封建政治「よらしむべし。知らしむべからず」を地でいくようだ。

 沖縄防衛局は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画で、代替施設本体の準備工事の入札・契約を非公表にして行い、大手ゼネコンが複数年契約として五十数億円で落札していた。
 契約には辺野古漁港に作業ヤードを整備するための埋め立て工事が含まれるが、名護市は漁港の使用を許可していない。無許可のまま契約したのは、明らかに行政手続きに瑕疵(かし)がある。しかも事前調整すらしていない不誠実ぶりだ。
 工事費は国民が納めた税金が投入され、使い道は透明性が求められる。非公表は透明性確保の原則に反する。
 したがって今回の入札は無効であり、直ちにやり直すべきだ。
 防衛局が非公表にしたのは、県民の7割以上が県内移設に反対している中で、移設に反対する市民らの抗議行動による影響を最小限にとどめようという狙いがあるのだろう。
 県内工事関係者ですら聞いたことのない今回の対応は、安倍晋三首相の意向と軌を一にしているのではないか。
 安倍氏は辺野古移設について「地元に丁寧に説明し、理解を求める」と発言する一方、4月の日米首脳会談で「強い意志を持って早期かつ着実に工事を進めていく」と約束している。
 「強い意志」というのは辺野古移設のためなら、自衛隊も投入するし、今回のように入札で県民の目も欺くということなのだろう。この島に民主主義は適用されないのか。安倍政権の沖縄との向き合い方は、高等弁務官が支配した米国統治時代と二重写しに見える。
 一方、仲井真弘多知事は普天間飛行場の「県外移設」の公約を破って国の埋め立て申請を承認した。最近は「辺野古は最短」などと容認姿勢を強めている。「最短」のためには、今起きている安倍政権の強硬姿勢に目をつぶるのだろうか。それなら施政権返還前の「任命主席」と変わらない。公選知事として毅然(きぜん)とした態度を示すべきだ。
 無理が通れば道理が引っ込むやり方は認められない。このまま辺野古移設を強行すれば県民の敵意に囲まれるだろう。移設問題は11月の県知事選挙の最大の争点になる。再入札を含め知事選まで全ての作業を中断すべきだ。