<社説>統一地方選 主権者意識持って臨もう


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県内統一地方選の最初となる5市議選が告示される。各候補者は地域の課題解決に向けた処方箋をきちんと示してもらいたい。

 ことしは県内41市町村のうち、29市町村議会の議員選挙がある。31日は名護、沖縄、宜野湾、南城、石垣の5市議選、9月2日には22町村議選と本部町、大宜味村、伊是名村の首長選が告示される。9月7日が投開票の集中日となり、10月5日投票のうるま市議選まで続く予定だ。
 統一地方選は11月の県知事選の前哨戦でもある。知事選の争点となる米軍普天間飛行場の辺野古移設問題では、政府が仲井真弘多知事の埋め立て承認を受け、世論の反対を無視して作業を強行している。注目が集まる名護市議選をはじめ、各政党・会派の消長は普天間問題の行方にも影響しよう。
 普天間問題では昨年、県外移設を掲げて当選した議員らがその公約を撤回させる動きが相次ぎ、有権者の政治不信は頂点に達した。
 今回立候補する候補者には有権者との「契約」である公約の重みを重々認識してもらいたい。公約の着実な実施を通し、地域がより良き方向へと変わっていく。そうした健全な民主社会を有権者と共に一歩一歩つくり上げてほしい。
 有権者も自らの役割を再認識したい。各候補の政策はもちろん、その人格や識見、力量を見極めるとともに、議員たちの日々の活動にも十分な関心を払いたい。
 市町村議は本来、地域の住民に一番身近な存在のはずだ。しかし残念ながら現状はその期待に十分応えているとは言い難い。
 議会は首長と並ぶ二元代表制の代表として行政を監視し、独自に条例を制定する役割も担う。実際は「住民の声を反映した政策提案や条例制定はほとんど行われず、首長の追認・諮問機関になりがち」(照屋寛之沖国大教授)だが、住民と議会の距離を縮めようとする動きも徐々に広がっている。
 議会の基本理念を明文化し、情報公開などを義務付ける「議会基本条例」を県内6市町村議会が制定した。4年前の選挙時は読谷村だけだった。身近な政策課題について積極的に提言し、住民の信頼に応えるこうした取り組みをぜひ広げてほしい。
 そして有権者はその権利をきちんと行使し、自らの代表を選びたい。地域の明るい未来のため誰が私たちの議会に必要か。主権者意識を持ち、確かな目で見極めよう。