<社説>少年非行調査 沖縄社会挙げた対策急務

 放任やネグレクト(養育放棄)、暴力・暴言などの保護者からの虐待を受け、居場所を失った少年らが、非行に追い込まれる県内の厳しい実態が鮮明になった。

 沖縄少年院を2013年度に仮退院した46人を対象にした実態調査が公表された。仮退院を審理する法務省九州地方更生保護委員会第3部の委員2人が、面接や資料などを基にまとめた。非行に至った経緯や成育環境などの実態に踏み込んだ調査は都道府県単位では初めてという。
 県警が発表する少年補導件数や刑法犯摘発件数によると、沖縄は深夜徘徊(はいかい)や飲酒が多く、共犯率や再犯率も全国平均を大きく上回るが、詳細な分析調査はなく、その背景は必ずしも明確ではなかった。
 今回の調査は実数こそ少ないが、低年齢化や集団化(共犯率の高さ)など沖縄の少年非行の特質を浮き彫りにする画期的な取り組みだ。沖縄社会が抱える暗部を照らし、早急な問題解決を促す社会的意義は極めて大きい。
 調査によると、保護者からの「ネグレクト」と「放任」が65・2%(30人)、「暴力・暴言」は34・8%(16人)となった。放任の大半はネグレクトに近い実態といい、ほぼ全員が虐待を受けていたという衝撃的な内容だ。
 生活保護レベルの貧困家庭に育ったのは60・9%(28人)で、全国平均の28・8%を大きく上回ったのも特徴だ。万引や飲酒など初めて非行に走った年齢が5歳から小6までが78・3%(36人)に上るなど低年齢化も際立つ。幼少時から養育を放棄された少年が小学時代に万引に手を染める構図だ。
 今回の調査から浮かび上がるキーワードは「貧困」「虐待」「非行」であり、これらが密接に絡み合う負の連鎖をいかに断ち切るか、沖縄の社会全体に突き付けられた極めて重い課題といえる。
 とりわけ貧困は負の連鎖の端緒ともなり得る。高い離婚率から生じるひとり親世帯や高い失業率などが貧困を生み出す。07年都道府県別調査では、沖縄の貧困率は全国ワーストの29・3%に上る。貧困が子どもの成育環境悪化に直結しないような手だてがないか、知恵を絞りたい。
 調査は、ひとり親世帯の支援充実や夜の居場所の設置、中卒児童等への職業前訓練など8項目を提言する。いずれも正鵠(せいこく)を射た指摘であり、沖縄社会を挙げて重層的かつ機動的に取り組む必要がある。



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