<社説>統一地方選 公約実現し沖縄の未来開け


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 ことし最大の政治決戦である11月16日の県知事選挙の前哨戦に位置付けられる統一地方選は、27市町村の議員選挙で382議席が決まった。

 今回は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設に向けた国の埋め立て申請を仲井真弘多知事が承認して以来、初めて迎えた統一地方選だった。
 仲井真知事が県外移設公約を覆す形で埋め立てを承認したことによって、沖縄に根を張る政治家の公約の重みがかつてなかったほど厳しく問われている。
 県内移設の是非や沖縄の未来のあるべき姿をめぐる議論が高まり、沖縄は歴史的な岐路に立っている。当選者には、沖縄と地域の針路を見誤ってはならない重い責務が課されている。まず、その自覚を深めてもらいたい。
 琉球新報の立候補者アンケートによると、全当選者のうち208人(54%)が名護市辺野古への移設に反対し、県外・国外移設や無条件閉鎖を求めている。辺野古移設は46人(12%)にとどまる。
 一方、仲井真知事の県政運営に対し、「評価しない」は160人(42%)で「評価する」の143人(37%)を上回った。
 選挙は民意を映す鏡である。
 稲嶺進市長を支える与党が単独過半数を守った名護市議選結果と符節を合わせるように、沖縄の直近の民意も県内移設ノーで底堅さを増していることを裏付けている。
 安倍政権は強引な移設作業を直ちにやめるべきだ。
 当選者には、自らに託された1票と、有権者との約束であり、政治家の命に等しい公約の重みを胸に刻み、その実現に不退転の決意で臨んでもらいたい。
 全国最下位の県民所得の下、県内市町村には経済活性化、生活困窮者の救済、徐々に押し寄せつつある少子高齢化への対応など、厳しい課題が幾重にも横たわる。
 財政難の克服は喫緊の課題だ。社会保障費などの住民生活を支える財政需要と経費の圧縮を両立させた適切な行財政運営が求められている。
 当選者は日々の研鑽(けんさん)を怠らず、打ち出した政策の実現に向け粉骨砕身努めるべきだ。
 有権者の声を真摯(しんし)に受け止め、地方自治や行財政をめぐる最新情報に神経を研ぎ澄まし、地域主権の担い手としてわが街の未来像を冗舌に語れる議員であってほしい。