<社説>横田にオスプレイ こんな「負担軽減」は姑息だ


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 まさに一時しのぎ、姑息(こそく)としか言いようがない。米空軍の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイ12機が東京の米軍横田基地に配備される見通しが明らかになった。嘉手納基地への配備を検討していたが、11月の知事選を控え、嘉手納配備は困難と判断したのだという。

 しかし、これで「日米両政府には沖縄への負担軽減をアピールする狙いがある」などと説明されれば鼻白むばかりだ。いったん配備されれば沖縄に頻繁に飛来するのは火を見るより明らかだからだ。
 それを実証する例は枚挙にいとまがない。まさに「沖縄の負担軽減」との鳴り物入りでことし8月、普天間飛行場配備の空中給油機が岩国基地に移駐したが、移駐後1カ月間、ほぼ3日に1日、普天間に飛来したのが確認された。これが「負担軽減」の実態だ。
 今でも嘉手納基地には外来機が頻繁に飛来する。日本にある米軍の訓練空域のほとんどが沖縄周辺に集中しているからだ。まして空軍はオスプレイの配備先としてもともと嘉手納基地を狙っていた。今は知事選があるので避けていても、ほとぼりが冷めれば嘉手納基地を使いたがるのは間違いない。
 こんな「負担軽減」など、子どもだましに等しい。
 そもそもオスプレイの日本配備は必要だろうか。
 固定翼と回転翼を併せ持つオスプレイは機体構造上の不安定性、危険性はかねて指摘されている。試作段階から事故を繰り返し、昨年までに30人以上が死亡した。「未亡人製造機」「空飛ぶ棺おけ」と米国メディアで呼ばれているのは周知の通りである。この1日にも米海兵隊のMV22がペルシャ湾上で発進する際、出力を失い、搭乗員1人が死亡したばかりだ。民間の航空機なら運航停止になっているのは確実だ。こんな機種を首都圏や普天間基地周辺の人口密集地で飛行させるなど、危険な人体実験に等しい。訓練が必要なら米本国でやってもらいたい。
 日米両政府はオスプレイの安全性を強調するが、海兵隊のMV22の事故率は10万時間当たり1・93だ。それも損害額の基準を従来の「100万ドル以上」から「200万ドル以上」にかさ上げして低く見せた結果である。まして空軍のCV22はそれ以上だ。
 配備は危険過ぎる。普天間のMVともども米本国に配備すべきだ。