<社説>台風19号接近 人的被害防止に最善尽くせ


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 大型で非常に強い台風19号が沖縄地方に向かっている。沖縄気象台によると沖縄本島地方は11日明け方、大東島地方と久米島は同日昼前に暴風域に入る見込みだ。台風の勢力は今年最大級であり、厳重な警戒が必要だ。

 台風の強さは「猛烈」から1ランク下がったが、中心付近の最大風速は50メートル、最大瞬間風速は70メートルと強い勢力を保っている。雲域がまとまっており、台風の目もはっきしている。台風は勢力をほぼ維持したまま沖縄地方に接近すると気象台は予想している。大陸の高気圧と台風の気圧の差が大きく、強風域の外でも強い風が吹く気象環境にある。先島地方も強風に注意してほしい。
 不要不急の外出は控えてほしい。家屋から飛んできた資材や街路樹などの倒壊によって負傷する恐れがある。自宅待機に徹してほしい。住宅の強度に不安があれば市町村が設定する避難施設へ避難すべきであろう。
 台風接近のたびに店舗や事業所などの看板落下が各地で起きている。一つ間違えば人命に関わる惨事につながるだけに対策を怠ってはならない。道路沿いに看板を据えているのであれば速やかに建物内へ移動してほしい。細心の注意と対策が防災につながることを、あらためて確認したい。
 台風接近時は絶対に海岸付近に近づいてはならない。今月上旬に台風18号が接近した時には高波による人的被害が起きている。読谷村の残波岬で女性が行方不明になっている。国頭村与那でも米兵3人が波にさらわれ死亡した。
 豪雨による土砂災害も心配だ。気象台は11日正午からの24時間雨量で200~300ミリの非常に激しい雨を予想している。初の台風特別警報が出た7月の台風8号では県内84件の土砂崩れが発生した。崖地や斜面に隣接する住宅地では、ちょっとした物音にも気を付けてほしい。危険を感じたときは避難をためらってはならない。
 既に県民生活への影響が出ている。那覇大綱挽など各種行事の延期や中止が決まっている。農産物など経済的な被害も予想されている。まずは人的被害の防止に最善を尽くそう。
 広島市の土砂災害、御嶽山噴火など多くの人命を奪った自然災害が相次いでいる。自然を侮ってはならない。備えは大丈夫か、今一度点検しよう。人命第一の行動を心掛けたい。