<社説>閣僚不祥事の続出 「負の連鎖」絶つ覚悟を持て


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 閣僚の不祥事が止まらない。相次ぐ閣僚不祥事の末に退陣を余儀なくされた第1次安倍内閣を彷彿(ほうふつ)とさせる事態だ。

 政治資金問題で経済産業相を辞任した小渕優子氏の後任に就いた宮沢洋一氏の資金管理団体が、「交際費」の目的で広島市内のSMバーに政治活動費1万8230円を支出していたことが分かった。
 宮沢氏は「私自身は行っていない。事務所関係者が誤って政治資金として支出してしまった」と釈明するが、このような支出を国民が許すはずはない。国民が納得できる説明ができなければ、宮沢氏は国会議員としての資質が問われよう。
 小渕氏については、群馬県の選挙区内の男性に地元事務所がボトルワインを贈った問題も浮上している。これが事実であれば公職選挙法違反の疑いがある。他にも政治とカネに絡む問題で複数の閣僚の名が取り沙汰されている。これでは国民の信頼は得られない。
 この際、全国会議員の政治活動費の実態を詳細に検証してはどうか。私費で賄うべきものに政治活動費を充てるような悪習がはびこっていないか、徹底的に洗い直してほしい。それなくして国民の信頼を取り戻すことはできない。
 政治とカネの問題に加えて、歴史認識と倫理観も安倍内閣に問われている。
 山谷えり子国家公安委員長が「在日特権を許さない市民の会(在特会)」の関係者と写真に納まっていた問題が今国会で取り上げられている。高市早苗総務相や稲田朋美自民党政調会長らが極右団体の代表と議員会館内で写真を撮っていたことも海外メディアは問題視している。
 仮にドイツなど欧州の国々の閣僚が「ネオナチ」と呼ばれる極右組織の構成員と写真に納まればどうなるか。閣僚辞任はおろか議員辞職に追い込まれかねない。ホロコーストを起こしたナチズムの責任を追及する欧州の政治意識は、過去の戦争責任に目を背けるような政治家の無責任な言動を厳しく問うからだ。
 ヘイトスピーチをする団体を政治家が後押しするような山谷氏らの行為を国際社会は容認しないはずだ。靖国神社参拝に踏み切り、周辺諸国との関係を悪化させた安倍内閣に、その認識があるとは思えない。
 「負の連鎖」を絶つ覚悟があるか、安倍内閣は自らに問うべきだ。