<社説>知事選告示 揺るがぬ公約の実現を 沖縄の将来決める分岐点

 ことし最大の政治決戦となる11月16日投開票の県知事選がきょう告示される。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非が最大の争点であり、沖縄社会にさまざまな影響を与えてきた基地問題の行方を大きく左右する知事選と位置付けられよう。それはすなわち、沖縄の将来像をも決定付ける歴史的な分岐点となることを意味する。
 これから17日間にわたって激しい選挙選が繰り広げられるが、私たち県民一人一人は、立候補者それぞれの政策や主張に目を凝らし耳を澄ませる必要がある。各候補者をしっかりと見極め、貴重な1票を行使したい。
 
 異例の分裂選挙

 現職で3選を目指す仲井真弘多氏(75)、前那覇市長の翁長雄志氏(64)、元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(53)、元参院議員の喜納昌吉氏(66)の有力4氏が既に告示前に公約を発表するなど、事実上の選挙戦に突入している。
 普天間移設問題をはじめ、経済振興策、子育て・教育や医療・福祉、まちづくりや行財政改革などの主要政策で各氏の主張の違いが鮮明になっている。各陣営は、有権者がそれぞれの政策を徹底的に吟味できるよう懇切丁寧な説明を心掛け、政策論争に徹してほしい。
 とりわけ辺野古移設問題は、日本の民主主義や人権の在り方を根底から問い直す状況に直面している。ことし1月の名護市長選では移設に反対する稲嶺進氏が再選を果たしたが、安倍政権は辺野古移設方針を堅持し、海底掘削調査や本体工事の入札公告に着手するなど既成事実化を推し進めている。
 これまでの知事選は、保守と革新が対決する構図が復帰後長く続いていたが、今回初めて「保守分裂」選挙となる。また、公明党県本部は1998年以来、16年ぶりに知事選での自主投票に踏み切った。従来の保守系地盤でも辺野古移設問題への対応は割れている。選挙戦最大の争点となるゆえんである。
 辺野古移設の是非について、4氏の主張は明確だ。仲井真氏が「危険性除去が最優先」とし移設を推進するのに対し、自民党県連幹事長も務めた翁長氏は「県内移設断念」を掲げて埋め立て承認の取り消しや撤回も検討と打ち出す。下地氏は県民投票の結果に従うとするほか、喜納氏は承認取り消しと嘉手納基地暫定統合に言及している。
 前回2010年の知事選では、保革両候補が普天間飛行場の県外移設方針を打ち出し、争点にならなかった。しかしながら今回は、各氏のスタンスの違いは明確だ。選挙戦を通じて基地問題をめぐる論争を深掘りし、より正確な判断材料を有権者に提供してほしい。
 
 山積する課題
 
 県民世論を二分するカジノ導入についても、各氏の立場は異なる。仲井真氏が「県民合意を得る」、喜納氏は「富裕層限定」などを条件に賛成するほか、翁長氏は県民生活への影響に懸念し反対、下地氏は県民議論を深めて判断-としている。豊かな自然景観や特異な歴史文化を背景に誘客を伸ばしてきた沖縄観光の理念や今後の在り方を見詰め直す機会ともなる。各氏の主張をじっくり吟味したい。
 沖縄の未来を担う子どもたちの教育や子育て支援策についても各氏は力点を置く。いずれも子ども医療費助成の拡充策を公約上位に掲げるが、無料化対象の拡充幅に違いがある。行財政改革やまちづくりの分野でも各氏は独自色を打ち出し政策に濃淡がある。こうした山積する課題についても、しっかりと議論を深めてもらいたい。
 県政、国政を問わず公約の重さが問われて久しい。前回の県知事選以降、基地問題をめぐる公約をほごにする事態が相次ぎ、有権者の深刻な政治不信を招いた。一方、県民の耳に聞き心地が良くても、財政の裏付けのない大風呂敷を広げるだけでは最終的に迷惑を被るのは県民だ。揺るがぬ公約と実現性が何よりも問われている。