<社説>那覇市長選告示 市政の主役として1票を


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 那覇市長選が9日告示され、16日の投開票に向けて熱を帯びる。この1週間は大切な時期だ。

 県都のリーダーを決めるため、候補者の訴えに耳を傾け、公約に目を通し、しっかりと考え抜き1票を投じたい。
 那覇市長選は、立候補を表明している前副市長の城間幹子氏(63)と前副知事の与世田兼稔氏(64)の一騎打ちとなる見込みだ。
 城間氏は翁長市政の継承発展を掲げ「未来の子や孫たちに責任ある社会をバトンタッチする」と訴え、与世田氏は21世紀ビジョンを基に仲井真弘多知事と連携し「安心して出産、子育てのできる街づくりに取り組む」と強調する。
 両氏それぞれが街づくりを描くが、那覇市の大きな課題である市街地活性化、待機児童ゼロへの取り組みなどは手法に違いがある。
 市街地活性化では、城間氏は新たな基本計画の策定や、マチグヮー活性化支援基金で国際通り、平和通りなどを支援するという。
 与世田氏は、中心市街地が栄えるには「生活の場」にする必要性を説き、地域住民との対話や全員協力型の地域支援を掲げる。
 中心市街地に観光客だけでなく、地元客もどう呼び込むか。両氏は明確な道筋を示す必要があろう。
 待機児童ゼロへの取り組みは、城間氏が「認可保育園の増園や老朽化した認可園の建て替え促進」を打ち出す。与世田氏は「安心こども基金などを活用し、17年度末までに実現する」と主張する。保育士不足の対応はどうするのかも両氏は具体策を示してほしい。
 沖縄の抱える最大の問題である米軍普天間飛行場の辺野古移設などでも相違がある。
 米軍普天間飛行場の辺野古移設問題では、城間氏が反対の姿勢を示し、与世田氏は宜野湾、名護の双方の市民の心情に理解を示すとして明確な見解は控えている。
 カジノについては城間氏が「悪影響が懸念される」と反対し、与世田氏は「誘致する場所がなく、那覇市は事実上困難」との姿勢だ。
 那覇市は県都であり、那覇市長は県知事と共に沖縄を代表する政治的立場を有する。沖縄全体に関する問題についても論戦を交わしてほしい。
 言うまでもなく市政の主役は、わたしたち市民一人一人だ。それをあらためて自覚し、投票権を行使したい。