<社説>知事選 子育て・教育 県勢発展に欠かせない


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 仕事と子育てを両立できる環境づくりは、出生率全国一の沖縄にとって大きな課題である。知事選の結果によって子育てをしやすい環境づくりが前進するのか。県民はそこも重視している。

 ひとり親世帯や共働き世帯にとって認可保育園の待機児童解消は切実な要求だ。知事選では4候補とも重要政策に挙げている。
 待機児童解消のめどについて下地幹郎氏(53)は3年、翁長雄志氏(64)は4年、仲井真弘多氏(75)は5年で実現するとし、喜納昌吉氏(66)は根本解決を図るよう訴えている。
 認可保育所の分園整備や増改築、認可外保育所の認可化移行で、ことし4月現在の定員は1年前に比べ1488人増えた。だが、それでも待機児童は56人減にとどまり、いまだに2160人が空きを待っている。県によると、昨年12月現在の潜在的待機児童は1万1393人に上る。
 施設の拡充や保育士の確保、市町村への補助制度拡充などに、思い切って予算を投入しなければ、待機児童の解消はおぼつかないことを現状は示している。
 4候補の政策の実現可能性は財源の裏付けに懸かっているのである。国に沖縄の状況を理解してもらい、予算措置を実現させる必要がある。
 通院費無料化は下地氏と仲井真氏が中学卒業まで、喜納氏は18歳までと打ち出している。翁長氏はこども医療費無償化を掲げる。
 中学卒業まで拡充した場合、県と市町村で約20億円の負担が増える。財源をどう確保するのかの説明も必要だ。
 教育政策については下地氏が教育費の完全無料化や20人学級の実現、喜納氏がウチナーグチを含めた語学教育の充実や観光大学創設を柱に据える。翁長氏は幼児教育無償化や30人以下学級の推進、仲井真氏は給食費無料化や30人学級の小中学校への拡大を打ち出している。
 いずれの政策とも実現を期待したいが、課題はここでも財源をどう確保するかである。
 子育てしやすい環境づくりと教育の充実は人材育成であり、県勢発展に欠かせない。多くの県民が公約の実現に期待していることを4候補はかみしめてほしい。
 人材育成を託せる候補は誰なのか。子どもたちの将来を見据えて投票に臨みたい。