<社説>那覇市長選あす投票 県都託せる人に1票を


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 那覇市長選があす16日に投開票される。2013年に中核市となって初の選挙となる。立候補したのは無所属新人で前副市長の城間幹子氏(63)と無所属新人で前副知事の与世田兼稔氏(64)の2氏。今後の県都の行政運営を担う責任者を選ぶ重要な機会であり、多くの市民に大切な1票を投じてほしい。

 那覇市にはさまざまな課題が横たわる。高齢者問題もその一つ。市の65歳以上の人口は13年10月時点で6万785人。うち単身で暮らす高齢者は1万6551人で、高齢者全体の27・2%を占め、年々増加傾向にある。こうしたお年寄りの暮らしを支える居場所づくりなどの生きがい対策、医療、生活、災害時の避難支援などさまざまな施策をさらに整えていく必要がある。
 子育て支援は喫緊の課題だ。市の待機児童数は14年現在、県内最多の439人に上り、4年連続で400人を超えた。来年4月には子ども・子育て支援新制度が施行され、幼稚園児は放課後児童クラブ(学童)が利用できなくなる。待機児童解消とともに、新制度で学童に通えなくなる子どもの受け皿を確保する必要もある。
 市の生活保護費も1993年以降増加を続けており、保護世帯はことし10月末時点で8798世帯に上る。保護費額は13年度決算で197億円超で、うち市が4分の1の約49億円を支出している。15年度から生活困窮者の就労や自立を支援する制度も始まる。
 受給世帯の自立支援を進めることも大切だ。一方、市の保護世帯の約半数は高齢者で、障がい者世帯と合わせると全体の7割を占める。保護費削減を優先し、就労困難者の保護費を打ち切る事態は避けなければならない。
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題は県全体の重要な問題である。普天間飛行場に配備された垂直離着陸輸送機MV22オスプレイは那覇市の上空を日常的に飛行しており、市民も無関係ではない。有権者は県内移設の是非についても2人の立候補者のそれぞれの立場、方針を見極める必要がある。
 教育、中心市街地活性化、カジノ、交通問題、行財政改革なども重要課題だ。市民一人一人の1票が県都のこれからの方向性を決める。選挙公報などで城間、与世田両候補が掲げる公約をしっかり把握し、投票権を行使してほしい。