<南風>イギリスのテレビ番組


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 アメリカに住んでいた頃にテレビを処分し、テレビのない生活をかれこれ10年ほど続けていた。そんな私がハマってしまったのが、英国放送協会(略称BBC)の番組。

 BBCの取り上げる内容と水準の高さが素晴らしい。特に定評があるのがドキュメンタリー番組で、世界の野生動物や海洋生物などを紹介している。

 2017年には、動物・植物学者のデーヴィド・アッテンボローがナレーターを務めた「ブループラネット」で、プラスチックが大量に漂う海の映像が流れ、人々に多くの衝撃を与えた。エリザベス女王も、バッキンガム宮殿ではプラスチック製のストローやボトルの使用を禁止にしたそうだ。

 海外の問題を題材にしたドキュメンタリーも興味深い。アメリカでトランプ大統領支持者の素顔に迫ったり、麻薬中毒者の日常を追ったりする番組もあった。「日本の隠された恥」という番組にも大きな衝撃を受けた。タブーなど無く、人々の本当の姿を映し出す。

 科学系の番組も数多くある。現役の大学教授がプレゼンターとして登場するのだ。特にブライアン・コックス物理博士は、元ロックバンドメンバーだったそうで甘いルックスで有名。その他にも、双子の医学博士が1カ月食生活を変えて、体に与える影響を調べる実験など、勉強になる内容だが見ていて面白い。アポロ11号月面着陸50年記念の特集も、宇宙からの交信を長時間に渡って流していた。

 実は、BBCには国会中継専用チャンネルがある。ニュースではなく、国会開催中は国会討論が生放送で見られる。最近は、国会を5週間休会にしようとしたボリス首相が最高裁で違法判決を言い渡されるなど、EU離脱問題で大荒れの国会だが、全てのやりとりを見ることができるのは、さすがBBCだ。
(渡名喜美和、英国沖縄県人会会長)