<南風>少女パレアナ

 若手経営者の勉強会に参加していると、お薦めの本はと聞かれる。経営の神様松下幸之助、中小企業経営者の教祖的コンサルタント一倉定、そして脳力開発・人間学の大家城野宏の本を薦めている。この先達の皆さんの話は広く、深い。

 経営書ではないが、『少女パレアナ』(エレナ・ポーター著 村岡花子訳)もお薦めだ。1913年に出版された超ロングセラー。日本でも、アニメになったほどだから知っている人も多いだろう。幼くして両親を亡くし気難しい叔母に引き取られたパレアナ。亡き父から教わったどんなに苦しいことや悲しいことからでも喜ぶことを探し出す「喜びのゲーム」で叔母のかたくなな心を溶かしていく。

 仕方ないからと「義務感」によって生きている後ろ向きの人達や、「何やっても無理、無駄よ」と硬い殻にとじこもった人達の心を開いていく。そしてそのゲームは町全体に広がり、人々の心を明るくしていく物語だ。

 娘が県外の高校に進学するとき、この本を贈った。2児の母になった娘が妻に「高校、大学、就職、結婚、育児…つらいときが何度かあったけど、パレアナのように明るく愉快に生きようと乗り越えてこれたよ。お父さんとあの本のおかげだね」と話したそうだ。

 確かに、「何にでも喜びを見いだす」ことは、単なる現状肯定のお人よしになりかねない。行き過ぎたポジティブ思考は心理学でも「ポリアンナ症候群」として現実逃避の夢の世界の住人と言われるほどだ。

 しかし、パレアナの「喜びのゲーム」には、義務感や愚痴と文句で灰色の日々を送るよりも、はるかに創造的な「強さ」と「行動」が要求される。「心」一つで同じ条件、環境でも全く違う結果が生まれてくる。外部から与えられるのではなく、条件や環境も自らつくりだすものだともいえる。読書の秋、お薦めの一冊だ。
(稲嶺有晃、サン・エージェンシー取締役会長)

少女パレアナ (角川文庫クラシックス)
エレナ・ポーター
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