<南風>ハワイでの講演


社会
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 9月10日、ハワイ州ホノルル市で講演し、「東日本・津波・原発事故大震災」から8年半の福島の現状と課題を伝えた。ハワイでの講演は4年連続。会場となったマキキ聖城基督教会には、30人の日系人が集ってくれた。前半は、震災関連死が止まらない福島の問題点。後半はハワイから夫婦で福島に移住し、福島復興の現状を伝えているスティーブ寺田さん(72)にスポットを当てた。

 日系三世のスティーブさんは奥さんのジャッキーさんと、1年の期間限定で福島に移り住んでいる。スティーブさんは、在日米軍の不動産部長として東北から広島までの米軍基地の不動産管理に当たっていた。2018年陸軍を退職。スティーブさんは言った。「原発事故で苦しむ福島だが、津波の被害が大きかったことも忘れてはならない。復興に向けて成果が現れている反面、まだまだ手付かずの地域もある。そのどちらも、バランスよく発信する事が私の使命だと思っている」と。スティーブさんは来年3月にはハワイへ帰る。それまでに私と、1F(東京電力福島第1原子力発電所)を視察する予定。

 講演翌日、主催者の新名瑛(しんみょうあきら)さんから丁寧なメールが届いた。新名さんは元共同通信記者。「福島の語り部、大和田さんの話にはいつもドラマがある。悲しいドラマ、悔しいドラマ、そして、スティーブさんのような感動的なドラマ。福島は個人的にも友人が多く、3・11を忘れることはないが、それでもこの8年半の間に多くの災害を見聞し、故郷(岡山)の災害などを聞くにつけ、いつの間にか福島が遠くなる。そんな時に、大和田さんがハワイに来て、いろんなドラマを語ってくれる限り福島を忘れない。自殺をはじめとする震災関連死がなくならない限り、福島の復興はないのだと。伝え続けるのがあなたの使命。来年も待っている」と。
(大和田新、フリーアナウンサー)