<南風>島サミット


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 先週、石垣島で開催されたアイランダーサミットに参加してきました。ハワイのカウアイ島、イタリアのサルディーニャ島、バリ島の代表者を招き、島に住む住民目線で島のことを考えるイベントで、多くの有識者を招き、事例を紹介しあい、交流を深めた4日間でした。

 参加者はテントの下、キャンピングチェアに座り、ビーチサンダルやTシャツ、南国シャツに身を包み、肩の力を抜いて、海風を感じながら、熱く語り合っていました。

 このサミット中、島の友人から「島がこんなに急激な変化を遂げて地元も困惑しているのに、いきなりS級を目指せと言われても難しいよ」との声がありましたが、これは石垣島に限らず沖縄の多くの人の本音だと思います。

 だからこそ、このサミットは大きな意義があるんだなと納得。島同士で共有する問題、これから直面するかもしれない問題、発展を遂げた事例、気づいていない良いところ、私たちが無理だと思い込んでいるだけで、創意工夫で実現している事例、経験に基づいた学びを互いに共有できる良い機会だと思いました。

 このサミットで一番感動したのは石垣とバリの高校生の交流です。サミットに向けて自主的に2日に1度のオンライン交流が継続して行われていること、今後は官民で協力し課題解決型ワークショップの実施や、バリ島への留学制度も実現することが発表されました。これは「人材育成」ではなく「社会変革」がコンセプトで、今回のサミットの意義を最大限に未来につなげていくんだという石垣島の気概を感じました。

 今回は豪華なサミットでしたが、日本中の自治体が小規模のサミットを工夫して継続し開催したら、多くの情報が交差して化学変化が起こり、地方創生の近道になるかもしれません。
(呉屋由希乃、社会起業家)