<南風>豊かな海であるために

 沖縄に来て魚料理が好きになりました。私の祖国ドイツでは、これほどの種類の魚を食べる機会があまりなかったのですが、近海魚ミーバイやイラブチャーをバター焼きにしてもらったり、グルクンやタチウオの唐揚げにマグロやシマダコのお刺身など、美味しい魚介類を楽しめるのも、沖縄生活の楽しみの一つです。

 最近同僚から、日本の秋の味覚といえばサンマである、と聞き、食するのを楽しみにしているのですが、今年はそのサンマが不漁であるとか。食生活の変化による乱獲などの問題もあるのかもしれませんが、気候変動の影響も否めません。

 私は趣味でよく海に潜りますが、サンゴ礁の美しさや出会う生物の多様さに魅了されます。しかし、この美しい海を、数十年後、数百年後にも見ることができるのでしょうか?

 7月に発表された、OISTの研究者も名前を連ねた研究論文によると、サンゴ礁が北半球では北上、南半球では南下した結果、熱帯のサンゴ礁が40年間で85%も減少し、亜熱帯のサンゴ礁が2倍に増えたそうです。海の生態系が直面している衝撃的な変化を食い止めるためにはどうしたらいいのか、研究者らは日々模索し続けています。

 OISTに新たに着任した、イタリア出身のティモシー・ラバシ教授もその一人です。教授が率いる研究室は、「海洋気候変動ユニット」。気候変動などの急速な環境変化による海水温の上昇や海の酸性化に対して、熱帯魚がどのように環境へ順化、適応しているのかを最新のゲノミクスの手法を用いて調べます。

 研究者たちによる科学的なデータをもとに、私たちは現状に理解を深め、問題を共有し、世界レベルのアクションにつなげていくことができます。

 沖縄の豊かな海が、末永く美しくあり続けるよう願わずにはいられません。
(ピーター・グルース、沖縄科学技術大学院大学学長)



関連するニュース

<南風>外国の友だち(2)

2019年8月30日 09:45






  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス







  • 他のサービス