<南風>家族からのダメ出し


社会
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 「口角が下がっていて怒っているみたいだった」「手や体をムダに動かし過ぎ」…館長に就任後、新聞やテレビのインタビューを受ける機会が多くなっているのですが、放送を見た家族からはよくダメ出しされます。特に娘は手厳しく「へらへらして落ち着きがない。梅宮辰夫みたいにもっと堂々としたら」と指摘されます。「梅宮さんとは20歳以上も違うんだけど」と反論するのですが、聞く耳を持ちません。

 ダメ出しはそれだけに止まらず、私の生活習慣やジェンダー観にまで及びます。夜、夕飯を済ませ家事の一部を手伝い、午後9時ごろには居間から自分の部屋へ引きあげるのですが、時々家族からは「家族の団らんより自分の時間が大事なんだね」と皮肉を言われたりします。「だって本を読んだり、原稿を書いたり、自分にはやらないといけないことがあるんだよ。家事はちゃんと手伝っているじゃないか」と反論を試みるのですが、「本当にそんなに毎日やることがあるの?」と言い返されると、もはやぐうの音も出ないのです。

 さらに、「そもそも家事を手伝うって何よ。手伝うという言葉の中に家事は女がやるものだという潜在意識が表れているじゃないの」と共働きの妻から批判が飛び出し、息子も「ジェンダー論のM先生が聞いたら、普天間さんってそんな考えの持ち主なのって怒ると思うよ」と援護射撃するのです。確かに自分の潜在意識の中には旧態依然のジェンダー観があり、建前では否定していても時々それが表れてくるようです。

 家族からのダメ出しは、私のことを思うがゆえの苦言なのでしょうが、時々そんなにまで言わなくもいいじゃないかとすねたくなる時もあります。でもやはり、愛あってのムチなのだとありがたく受け止めることにしましょう。
(普天間朝佳、ひめゆり平和祈念資料館館長)