<南風>イギリス人とパブ

 イギリス人にとってパブとはなくてはならない存在だ。酒類販売のみのパブもあれば、沖縄の居酒屋のように、子供たちを連れて家族で食事できるパブもある。最近では、ガストロパブと呼ばれるグルメ系のパブも現れた。週末のブランチや、仕事帰りにちょっと一杯ということもある。バンドの生演奏や、週1回のクイズナイトなどのイベントもある。最近は、ラグビーW杯の応援でどのパブも盛り上がっている。

 時にはジョギングの途中に水を買ったり、トイレ休憩に使わせてもらったりすることもある。パブというのはパブリックハウスの略で、まるで公民館的なニュアンスがある。

 自分のお気に入りのパブを「俺のパブ」と呼び、常連客とビールを飲みながら家族の話、スポーツの話、政治の話など、延々とおしゃべりを楽しむ。イギリスの男性は口数が少ないと思いきや、実はみんなおしゃべりなのだ。きっとパブ文化のせいだと思う。

 「もし、なぜそのパブが気に入っているのかと尋ねられたら、ビールへのこだわりを一番にあげるのが普通かもしれない。でも、俺にとっては『ザ・ムーンアンダーウォーター』の雰囲気がいいのさ」

 ジョージ・オーウェルが1946年に新聞に寄稿した、理想的なパブについてのエッセイの一節だ。彼は村上春樹氏の『1Q84』の土台となった『1984年』というディストピア小説で世界的に有名な作家だ。

 彼はエッセイの執筆当時、うちの近所のキャノンベリースクエアに住んでいた。当時の彼の家の前には、歴史的な人物が住んでいた印として青い盾が貼り付けられている。

 彼の理想的なパブのモデルになったとされるパブが近所に2件ある。どちらかがいつか「私のパブ」といえる場所になるかもしれないなあ。
(渡名喜美和、英国沖縄県人会会長)



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