<南風>YES,AND


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 誰でも口癖というものがある。僕の場合は、「あの~」とか「えーっと」などの間投詞が多い。そして「でもね…」で始まる否定語だった。

 「なんでもいいから相談に乗るよ。遠慮しないで言ってよ」と、社員に声をかける。社員から意見や提案が来る。「うん、うん」と最初は聞いているが、自分の判断基準と違うと思うと話を遮って、「でもね、○○○」と説得が始まる。自分では、みんなの声も聞いて、進むべき方向性も伝えているから、正しいと思っている。なぜ、言ったとおりに動かないんだとイライラする。

 あるとき、知人からこういわれた。「ユーコーさんの話は、筋は通っているんだけど、いつも『でもね』と否定されているみたいで、耳栓しちゃうのよね」。はっとした。

 そんな時、このゲームを知った。「YES,AND」だ。ある提案に「でもね」と否定するときと「いいねぇ」と肯定するときの違いを体感するものだ。2人一組でチームを作る。初めは、否定「でもね」から。

 こんな感じだ。Aさんが、理由をつけて提案する。「今日は天気もいいしみんなでバーベキューしない」。Bさんが否定する。「疲れているから嫌だよ」「おいしいもの食べると元気になるよ」「寝てたほうがいいよ」「みんなと一緒だと元気になるよ」「誰とも話したくないよ」とこれを繰り返す。だんだん双方が疲れてやる気がなくなる。

 次は「いいねぇ」だ。今度は新たな提案を付け加える。バーベキューの提案に「いいねぇ、北谷にする」。「いいねぇ、仮装してやろう」「いいねぇ○○○」と繰り返す。プラスの空気があふれ、発想がどんどん広がる。

 「いいねぇ」で受けて「それで○○○」で返す。答えはみんな自分の中にあるという信頼が根底にある。それを引き出す魔法の言葉が「YES,AND」。

(稲嶺有晃、サン・エージェンシー取締役会長)