<南風>義姉に学ぶ


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 私には、12歳下の義姉がいる。兄嫁なので、年下でも一応お姉さん(笑)。

 彼女は大阪出身。兄と結婚して20年余りになる。実家の近くで暮らし、兄と農業をしている。都会で育った彼女だが田舎の生活になじみ、今や大阪弁は出ず、宮古なまりである。方言を話すことはしないが、ほぼ聞き取れているようだ。最初、彼女に気を遣い、周りは標準語で話していたが、今や誰も気にせず、方言でしゃべっている。彼女はそれを聞いて返事をしたり、笑ったりしているのだからすごいと思う。

 もうひとつ、すごいなーと思うことがある。近所の人や農業でつきあいのある先輩(女性)を呼ぶとき、名前にねぇねぇ(姉々)をつけることである。例えば、良子ねぇねぇや京子ねぇねぇなどのように。

 私も子どもの頃、近所のお姉さんたちのことは、〇〇ねぇねぇと呼んでいた。しかし、大人になってからの新たな知り合いに、ねぇねぇと付けて呼ぶことはなかなかないし、難しい。それを大阪で育った彼女がやっているのだから。うばいがうばい(感心するやら驚くやら)。

 昔は、男性でも女性でも、自分より年上には、名前にアザ(兄さん)やアンガ(姉さん)をつけて呼んでいた。50代以上の男性は、今でも、アザ(兄さん)を使う人は多いように思う。尊敬する大先輩には、ウプアザ(大兄さん)。また、親の兄弟の一番上のおじさん、おばさんのことは、ウプヤ(大親)、ウプアンナ(大母)と呼ぶ。

 こういった呼び方について子どもの頃は特段何も感じなかったが、尊敬の念と親愛の情が入っていることを今は感じる。

 彼女は宮古の風習だけでなく、その精神性まで理解し、しっかりと自分のものにしている。30年東京で暮らし、宮古に帰ってきて5年の私は、義姉からいろいろ学んでいる。
(松谷初美、宮古島市文化協会事務局長)