<南風>ロンドンの通勤事情


社会
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 2012年に渡英して、7年の歳月が過ぎた。修士号を取得し、仕事も見つかり、パートナーと一緒に、趣味のマラソンやクロスカントリーレースに精を出す日々を送っている。イギリス生活は性に合っているらしく、とても居心地が良くて幸せだなあと思う。

 沖縄を離れ、東京で10年、ニューヨークで10年、そして現在はロンドンだ。

 3都市とも世界的な大都会なので、似ているところも多いが、決定的に違うのが公共交通機関だ。東京の満員電車はかなり辛い。海外暮らしがしんどい時は帰国して東京で仕事を探そうかとも考えたが、満員電車で通勤するのが嫌で帰国する気持ちにはなれなかった。ただ、時間通りに電車が来るのは素晴らしい。世界中のどこにも秒刻みで電車が到着する都市はないのではなかろうか。

 ニューヨークの地下鉄は適当である。時刻表など見たこともないし、急に各停から急行に変わったりすることもある。ただマンハッタンと近隣区域内は料金一律ですごく安い。私は中心から外へ向かう逆通勤路だったので、朝は反対方向へ向かう満員電車を横目で見ながら、ちゃんと座って通勤できた。そんな生活を10年もしたら、東京の満員電車はもう無理だ。

 ロンドンもニューヨークと似たり寄ったり、いや、遅延、キャンセルに関してはもっとひどい。通勤ラッシュも大変らしいが、私は逆通勤をしているので、今も毎日座って通勤している。ロンドンが東京やニューヨークと違うのは、席を譲ってくれる人がとても多い。それにスーツケースを持っていると誰かが手伝ってくれる。朝から、親切にされると気持ちがいい。

 沖縄モノレールが延長されてモノレール通勤の方も増えたのでは。ぜひ、他の乗客に親切にしてあげてください。一日一善、お互い気持ちよく過ごせますよ。
(渡名喜美和、英国沖縄県人会会長)