<南風>宮城信勇先生との約束

 宮城信勇先生を偲ぶ会が、去る11月11日、ゆかりのある大勢の方々によって催されました。当日、八重山古典民謡保存会の皆さんによる〈無蔵念佛節〉のほか、大工哲弘さんが〈でんさ節〉を、宮良康正さんが〈とぅばらーま節〉を披露しました。そして、10人の方々が各面から宮城先生のご功績や人柄についてお話をされました。私も末席から宮城先生との思い出をお話しましたが、そのとき言い尽くせなかったことなどをふくめ、今回も先生との来し方についてつづります。

 宮城先生が勉強会でいつも口にされたのは「既存の辞典を過信するな。先達の説をうのみにするな」でした。私が研究の指針にしてきた「科学的な営みのすべては疑いうる」という標語に通じる先生の訓戒は、ストンと腑(ふ)に落ちるものでした。また、いかなる偉大な先人でも、神格化・偶像化は避け批判的に検証・継承せよ、というのも先生の学問探究にあたっての基本姿勢だったように思います。宮城先生からご教示いただいたことのなかで、私がもっとも大事にし、実践しているのは、「辞典を過信するな。先人を神格化するな」の2点です。拙著『CD附精選八重山古典民謡集』『八重山の芸能探訪』は、及ばずながらその成果物だと自負しています。

 さて、もう一つ、宮城先生の冷厳な学問探究の道を後追いすべく、15年前の退職時点からコツコツ記録してきた郷里の言葉や習俗などを集約した『黒島の言語・習俗事典』の編集があります。生前、宮城先生から、石垣語の文法や音韻変化の法則を学ぶ中で、頻繁に黒島方言辞典の編集を勧められ、ドゥーヌ タキン バハラナ(自分の非才を省みず)頑張ります、と答えたのです。老体に難病を抱え「日暮れて道遠し」の心境ですが、先生の学恩に報い、約束を果たすべく日々奮闘しているところです。
(當山善堂、八重山伝統歌謡研究家)



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