<南風>指示100%と0%


社会
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 「最近の若い子はどうして具体的に指示しないと動かないんだろう」と言われることがある。「そうだよね。どんな風に…」具体的に聞き返してみる。すると、「こうなんだよ…」と自らの体験を語り始める。聞いていくと部下は上司に対して、『自らを成長させて導いてくれる』ことを期待していることがわかる。しかし、実際は、指示が曖昧だったり、仕事のやり方を教えていない場合が多い。指示の仕方や教え方がわからないのだ。

 小さい頃、自分でやりたいことがあると夢中になってやったものだ。なぜ仕事では指示されないと動こうとしないのか。上司の指示・命令がなくてもやりたいこと(やるべきこと)があれば、部下は自分の役割を決め行動するのではないか。

 それを体感できるゲームがあった。『指示100%と指示0%』(指示ゼロ経営/米澤晋也)だ。すべての行動を具体的にこまごまと指示する場合と全く指示をせず自由に任せる場合、どちらが早く終わるかを試すのだ。10人ほどからできる単純な並べ替えゲームで、2回行う。自由に並んでもらってから始める。

 1回目は、誕生日別に並んでもらう。やり方は『指示100%』。まずリーダーを決める。他のメンバーは、リーダーの指示通りに動く。スタートの合図で始める。時間を計る。2回目は、名前の五十音順に並んでもらう。やり方は『指示ゼロ』。「自分でできることを考え好きなように行動してください」と言い、スタートする。時間を計る。 結果はどうだったか。『指示0%』のほうが『指示100%』の半分以下の時間で終わる。ゲームという安心感もあるのだろう。参加者は自発的に自分で役割を決め目標達成に動く。「好きなようにしてください」と任せたほうがかえっていい結果につながるかもしれない。
(稲嶺有晃、サン・エージェンシー取締役会長)