<南風>イギリスのクリスマス


社会
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 イギリスには、日本では馴染みのないクリスマスの習慣や伝統がたくさんあって、驚くことも多かった。クリスマスの日はほとんどのお店や公共交通機関もお休み。家族で過ごす休日なので、従業員さん達にも家族がいるのだから労働者に優しい社会だと気が付いた。ヨーロッパのそういう価値観は大好きだ。

 クリスマスの午後は女王陛下のスピーチがあり、テレビの前に集合。エリザベス女王2世は在位中67年間もスピーチを続けているのだそう。食事もイギリス流のこだわりがあって、付け合わせには芽キャベツが欠かせない。ソーセージにベーコンを巻く「ピッグズ・イン・ブランケッツ」も。デザートは、ドライフルーツたっぷりのクリスマスプディングで、ブランデーをかけフランベ(火を付けること)をしてから、カスタードクリームをかけて頂く。飲物は、甘いポートワインや、赤ワインにスパイスを入れて温めたモールドワインが伝統的だ。

 クリスマスクラッカーという紙製の筒を二人で引っ張りあうゲームもある。片側の筒に紙の王冠が入っていて、それを被って食事を続ける。なんとも可愛(かわい)らしい伝統だ。

 クリスマスは、12月25日から12日目の1月5日に終わるとされ、翌6日にクリスマスツリーを片付けないと縁起が悪いそう。クリスマスの次の日(12月26日)はボクシングデーという祝日だが、スポーツのボクシングではなく、プレゼントの箱(Box)を開けることに由来しているらしい。

 私の兄の誕生日はボクシングデーなのだが、子供の頃、誕生日とクリスマスを一緒に祝ったためプレゼントは1年に1個しかもらえず、今思うと可哀想(かわいそう)だったかも。

 楽しかった半年間のコラムはこれが最終回。イギリスの空気を身近に感じていただけたなら幸いです。
(渡名喜美和、英国沖縄県人会会長)