<南風>悲しみよこんにちは


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「執筆者に応募したいです」「選抜依頼という形でやっています」。恥ずかしい。皆さん選抜され依頼されるというかっこいいながれ。テンション高いですねと記者の方。「パッションがあるのです」。発言はかっこいい私。

 私は福祉サービス事業所の代表をしています。心の病を抱えている方が回復を目指して通所する施設です。望む暮らしを取り戻すため、または作り出すためのお手伝いをしています(正確には生活訓練施設といいます)。県内の精神科病院で精神保健福祉士として相談員の仕事をして参りました。

 心の病は苦しみも、つらさも、回復までも目に見えません。だからこそ孤立して悩む方が多いと実感しています。病院以外にも相談する場、気持ちを共有する場、そして何よりも自分を大切に思う場を作りたいと思い2013年に開所しました。

 「生きてるだけで価値ある素晴らしい娘」と子供の頃から母に言われて育ちました。そんな優しい母が、突然18年76歳で天国に旅立ちました。明日も元気でいると思っていた最愛の母の死は想像をこえる「悲しみ」と「喪失」でした。今でも「死」を受け入れられません。母の遺志を継いで「生きてるだけで価値がある」と伝え続けることが「悲しみ」からの学びだと思います。これまでの私は「障害や病気になってつらいと思うこともあるかもしれない。でも力を借りて乗り越えてほしい」と思っていました。今は違います。「乗り越えなくてもいい。生き抜いてほしい」と心から思います。

 自己推薦してまで「南風」に執筆したかったのは、「死」からの学びが誰かの支えになればと思ったからです。尊敬する人や悲しみの感情整理、子育て雑感に焦点をあて、書いていきます。
(玉城恭子、HaNaCoLi代表取締役)