<南風>女性の力とSDGs実現


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 昨年12月に世界経済フォーラムから「ジェンダー・ギャップ指数2020」が公表された。ご存知の方も多いと思うが、日本は153カ国中121位と、過去最低の順位であった。この結果を、皆さんはどのように受け止めただろうか。

 2018年に第1子を出産後、月1回以上海外出張をしていた私の仕事や生活スタイルは大きく変わった。産後の変化の中で、最も向き合っているのは、自分の中にある経済的な価値への意識であるように思う。社会企業家や社会的インパクト投資に携わる人間として、経済以外の価値観や指標の重要性を認識しているし、信じている。それなのに、自分の経済生産性が下がったことを受容できず、受容できない自分の思考を認めるのが難しかったのだ。これが、ジェンダー・ギャップ指数が低い日本の現実なのだろうと気づいた。

 SDGsは「誰一人取り残さない」社会を目指している。この実現には、男女共に個人レベルでの価値を多面的に受け入れ、一人ひとりの可能性に向き合うことが重要だ。これこそ、ジェンダー・ギャップ指数を改善する根本であるはずで、あと10年と迫ったSDGs達成に向けた期限の中で取り組むべき原点である。

 東日本大震災後に会社を辞め、陸前高田を拠点に事業を興し、その地域らしい経済のあり方やコミュニティの持続性に向き合う中で、14年からアジアの女性社会企業家をつなぎ、応援する活動を始めている。

 社会企業家から学ぶのは、自分自身をはじめとして、一人ひとりに真摯(しんし)に向き合い、目の前の課題から逃げないことである。彼らは、モノや貨幣における等価交換の中に、経済性では計れない価値観や思想を組み込ませようとしている。これこそが、女性の力の一つであり、SDGs達成に必要な思想であるように思う。
(渡邉さやか、AWSEN創設・代表理事 re:terra社長)