<南風>持続可能な開発


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2020年が始まりました。この1年が誰にとっても幸せを実感できるものになりますように。

 さて、昨年は、「SDGs」を沖縄の振興に取り込んでいく動きが進みました。17のゴール(目標)に合わせて17色が一つの輪になったピンバッチを着けている人も増えましたね。「SDGs」はそのまま、エスディージーズ、と呼ばれることが一般的ですが、英語だと何だかとっつきにくい感じがするかもしれません。一方、日本語訳も「持続可能な開発目標」となっているので、結局は開発途上国向けの目標でしょう、と思われがちです。

 持続可能な開発とは、「将来の世代がそのニーズを充足する能力を損なわずに、現世代のニーズを充足する開発である」と国連は定義しています。その意味は、今を生きる私たちが豊かで充実した生活を送るのと同時に、将来の世代もそうであるように、負の遺産を作らない、ということです。SDGsは、この両立を実現するためのベスト・プランというわけです。また、SDGsでは、地球上の誰一人取り残さない、との誓いが掲げられています。人間ひとりひとりに目を向けることが大切になるのです。

 私は国際協力機構(JICA:ジャイカ)の一員としてこれまで、途上国、特にアフリカにおいて、持続可能な開発に繋がる事業を、アフリカ側のオーナーシップ(主体性)の下で実施してきました。昨年3月まで駐在していたケニアは広大な国土を有し、山も海もあり、肥沃な農地もあれば草木が育たない乾燥地帯もあります。さらに、地域により言語や宗教、文化、慣習が異なる上、都市部と地方部の経済格差が広がる、多様性の国でした。

 これから半年間、そんなケニアでの経験も交え、持続可能な開発やアフリカの素顔をお伝えしていきます。よろしくお願いします。

(佐野景子、JICA沖縄センター長)