<南風>感じる力


社会
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 今回のコラムの原稿を書いている今、1歳3カ月の息子が40度超えの熱を出している。保育園を休み、とにかくママと一緒にいたいと全身で表現して甘え、起きている時だけでなく寝ている時もずっと抱っこ。冗談ではなく、1日20時間以上抱っこして、24時間くっついている。

 語彙力は少ないが、数語話せるので、「ママ」という単語をメインに自分の意思と感情を精いっぱい発するので、それをいつも以上に受け止めている数日だ。彼とのやりとりを通じて、改めて「非言語コミュニケーション」の重要性を実感するし、乳幼児とのやりとりから学べることはたくさんあると考えている。

 アメリカの心理学者メラビアンによって1971年に発表された法則によると、人が相手から受け取る情報を100とした場合に、相手からの「言語情報」からの内容は7%だ。残りの93%は、相手の声のトーンや大きさなどの「聴覚情報」、相手の視線や表情といった「視覚情報」によるものとされる。

 言語情報以外の情報を受け取れるかどうか、あるいは言語以外の情報も含めていかに自分の気持ちを相手に伝えられるかの根底には、頭で考える思考ではなく、直感や身体的な感覚が非常に重要であるように思う。乳幼児は、この直感や身体感覚(内蔵感覚と表現する方もいる)で生きている、あるいはそうした感覚に正直な存在である。

 生産性が上がるとして研修などで取り入れられるようになったマインドフルネス瞑想(めいそう)も、思考ではなく感覚を取り戻し、自分のありのままを認識することが重要とされる。私たちは普段の生活の中で、いかに自分と相手を「感じる」ことができているだろうか。それはきっと、誰もが自分らしくあり、「誰一人取り残さない」SDGsの鍵でもあるのではないだろうか。
(渡邉さやか、AWSEN創設・代表理事 re:terra社長)